過去ログ - 一方「どンなに泣き叫ンだって、それを聞いて駆けつけてくれるヒーローなンざいねェ」
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◆uQ8UYhhD6A
[saga]
2011/05/26(木) 01:29:41.46 ID:KACOPQpWo
『何だよ急に、それが何の関係が……』
「だが、俺が失ったのはエピソード記憶のみ。意味記憶と手続記憶は残ってる。そォじゃねェと、喋ることも歩くこともできねェからな」
『…………?』
「ここまで言って分からねェか。そもそも、記憶ってのはエピソード記憶だの意味記憶だのとそれぞれ独立したモンなンだよ。
容れ物が違げェンだ。
俺がエピソード記憶を全部失くしても喋ったり歩いたりできてンのは、エピソード記憶とその他の記憶の格納場所が違うお陰だ」
『容れ物が、違う……? じゃあ意味記憶に当たる本を十万冊記憶しても、エピソード記憶とは……』
「関係ねェな。つゥか、たぶン御坂もそれくらい本記憶してるンじゃねェか? アイツ記憶力良いし、意外と努力家だからな」
『……じゃあ、記憶のし過ぎで死んだりは……』
「ンなことあって溜まるか。そもそも、人の脳ってのは百四十年分の記憶は余裕で蓄えておけるようにできてンだよ。
大体、記憶のし過ぎで死ぬとか言い出したら完全記憶能力者は全員短命ってことになるじゃねェか」
『!!』
電話越しに、上条が息を呑む音が聞こえた。
しかし一方通行からしてみれば、まったく下らない問答だった。
むしろ、コイツ人がどういう状態にあるのかもよく理解してなかったのかよと文句を言いたい心境だ。
「で、疑問は解消したのか?」
『ああ、本当に助かった! ありがとな!』
「ハイハイ。これからはちゃンと勉強しろよ」
『わ、分かってるよ! とりあえずまたな!』
急いでいるのか、上条は一方通行の返事を待たずに電話を切ってしまった。
一方通行は溜め息をつきながら通話を終了させると、大人しくなった携帯電話を机の上に放り投げる。
そして再び襲い掛かって来た睡魔に身を任せ、彼はそのまま眠りについた。
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