過去ログ - 一方「どンなに泣き叫ンだって、それを聞いて駆けつけてくれるヒーローなンざいねェ」
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3: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/05/21(土) 00:02:19.44 ID:gGgzkDclo

再び、少女がじっと美琴を見つめる。
美琴はその眼力にぎくりとしたが、怯むことなく少女を見詰め返した。

「人の目で街の死角を潰しているの」

「へ?」

「マネーカードをばら撒くことで普段人目に付かない路地や裏通りに意識を向けさせ、学園都市の監視カメラの穴を人の目で埋めているの。
 そうしたら、そこで起こるかもしれない『事件』を阻止できるかもしれない」

「事件? 阻止? ……よく分かんないけど、そんなの風紀委員や警備員の仕事じゃない」

「風紀委員や警備員は頼りにならないわ。『事件』が起こってから駆け付けたのでは間に合わないもの」

「?」

曖昧な物言いしかしない少女に、美琴は戸惑うことしかできない。
一方通行は割とどうでも良いと思っているのか、彼女の話など軽く聞き流しているようだったが。

「でも、私自身が目撃されて尾行されるとは迂闊だったわ。家探しされて余計なものを見られたら面倒な事になっていたかもしれないから」

言いながら、少女が部屋の真ん中にぽつんと置いてあった机の引き出しから取り出したのは、紙束だった。
当たり前だが、美琴たちの立っている位置からはその内容など見ることができない。
あれは何だろう、なんて悠長なことを考えていると、少女は突然ライターを使って紙束を燃やし始めた。

「ちょっ、良いの!?」

「because.他人に見られると厄介だから。やっぱり形の残るものは駄目ね」

話している内にも、紙束はみるみると燃えていく。
もう、半分が炎に呑み込まれて灰になってしまっていた。



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