712: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/03(日) 23:59:55.06 ID:dLcdmaZco
「……!!」
おそらく何かをしただけでシェリーはなす術も無く蹂躙される。戦争だの何だのと言った事情など知らない、と言わんばかりに。
そんな近い未来が脳内に浮かんでくる程、一方通行の冷たい殺意は本物だった。
例えこのまま戦争に発展しても、目の前の白い悪魔には勝てないと、そう感じさせるほど。
シェリーの呼吸は荒くなり、手からはじわじわと汗がにじみ出るが、動かないように必死になった。
「……話が逸れたなァ。そォだ、あのゲーセンに行った時点で、お前がヒトでは無い事は分かっていた」
「……どうして、何も言わなかったんですか……?」
「だから、ンなことにどンな意味があるってンだ?
それとも、お前はなンか下心あってあのシスターに近づいたってのかァ?」
「そんなわけ、ないじゃないですか……」
わたしだって。
「わたしだって、あの子と友達でいたかった!初めて自分のことを友達と呼んでくれたから!!
だけど、私はこんな化物で、致命傷の怪我だってすぐ治って!!そんなのとあの子は仲良くなりたいだなんて思いますか!!?」
風斬は、インデックスの表情を見ることが出来ない。
先ほど見た時は驚愕の一色に染まっていた。
確かにあんな物を見て驚かない方がおかしい。
それは別に構わない。
しかし、次の表情が、『恐怖』に染まっていたとしたら。
おそらく風斬の心は、崩壊する事だろう。
今の風斬に、それを確かめる度胸は、無かった。
「そォか、つまりあいつが今でも友達だと思えるなら、それで大団円って事だろォ?」
「えっ?」
すると、背後から、小さなぬくもりを感じた。
「……」
インデックスは、何も言わずに、風斬を抱きしめる。
「どう、して……」
風斬は、今にも涙がこぼれおちそうな顔をするが、
「友達だから」
インデックスは多くは語らず、ただただ抱擁を続けた。
「う、あ……うああ……ふわああああ!!」
風斬は、そんなインデックスの背中に腕を回し、貯め続けた涙を決壊させて、インデックスもそんな風斬に同調するように、もらい泣きを始めた。
「……別にヒトである必要はねェよ。ただ、心が人間なら、それで十分だ」
誰にも聞こえないほど小さな声で、一方通行は呟いた。ただ、風斬の耳はその呟きをとらえたのだが。
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