821: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/23(土) 21:25:38.87 ID:8F0fn2D4o
「お前、『影』か?」
ストレートに、明確に、単純に、目の前に居るそれに、どのような存在か確認を取った。
「まあ、そうだね。『元』影って言った方がいいかもね。君らからしたら『影』ってことには変わりないけど。
残念ながら、『光』は僕が喰っちまいましたあ。だからもう光も影も、何も無いよ。
とどのつまり、『僕』は『僕』であって、他の誰でも、何でも無いのさ。あははっ」
そう、僕は自由なのだー!と、天井の影は椅子の上に立ち、ワインをボトルごと一気飲みをし始めた。
ああ、天井クンはストレスを貯め込んでたンだろォなァ。
等と場違いな考えを一方通行は巡らせるが、天井の乾杯の音頭をし始めた事で中断された。
「えー、本日はおひがらも良く……あー、なんだ、飯だけはいっぱいあるから……食ってけ!!」
天井の影のその言葉を聞いた上条と布束は……音を置き去りにした。
目の前に広がる食べ物を口の中に次々と放り込んで行く。よほど『美味い食事』に餓えていたのだろう。
て言うか、クマは数に入れて良いか迷うが、まだ見ぬ芳川桔梗を含めて6人が集まったところで、
目の前に広がる料理の数々は、どう見ても食べきれるレベルではない。
どちらかというとインデックスすらお腹いっぱいと言えるレベルである。
それにしても敵陣の中だと言うのに、随分と気が抜けている。
と言うのも、天井の影から、敵意や殺意と言った負の感情が全く見られないのだ。
とてもじゃないが、天井亜雄から、その存在を奪ったとは思えない。
「あはは、彼から抜け出せて、こうやって好き勝手出来るだけである程度満足してるからねえ。
君らが敵対しない限りは、何もする気は無いよ」
「……その割には、このホテルにいるシャドウどもはやたらめったら襲いかかってきたンだが?」
「酷い目にあったクマよ」
食指が働かない一方通行と、食べ物を食べられないクマが、天井の影に話しかける。何か情報が得られないか尋ねるために。
「それはシャドウとしての本能だろうねえ。僕は見ての通り、天井君を『喰った』事で自我があるから、それを抑えられるけど」
「シャドウの本能?」
考えた事も無かった。何故、シャドウ達が人間を襲うのか。
シャドウが人を襲うのは、「そういうものだ」と決めつけていた節がある。
「あはは、考えた事も無かった、て顔してるね?」
「うるせェよ。襲ってくる敵の事なンざ、いちいち考えてられるかってンだ」
と、口で言いつつも、テレビの成り立ちを考えるにあたって、シャドウの存在は切っても切れない存在だろう。
そしてそのシャドウの事を良く知っているシャドウそのものが、目の前に居る。
「ははっ、それもそうか!それで、シャドウってのはだね……」
そのシャドウ、天井の影は、口をつぐんだ。
一方通行は、天井の影が再び口を開くまで、黙りこむ。
そして、天井の影が、再び言葉を紡ぎ出す。
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