977: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/29(金) 01:25:27.97 ID:kQbivQgpo
「そ、それは……」
いきなり話を振られて戸惑う山岸。
確かに、あのような命のやりとりに参加したいかと問われれば、否。
だがしかし、あの時の出来事と似たような事をしている人間がいると言うのに、
自分は何もしないのか、とも思う。
そう簡単に、「はい」か「いいえ」で答えられる訳がなかった。
「ですが、私には……私達には、『力』があります。私は、戦闘向きではありませんが……
とにかく、そんな力があるのに、何もしないで、そもそも何も知ろうとしないでいるなんて……できません」
その言葉を聞き、一方通行はしばらく思案するような表情を浮かべた後、視線の向きを変えた。
「……お前はどォだ?その身体の武器は、シャドウの為のもンかァ?
それとも人間を手にかける為のもンかァ?」
「……気付いていたのですか」
「当たり前だ、足音で分かるっつゥの。まァそンなンで判断出来る奴はそうそういねェだろォが。
まァ、今はそンな話はどォだって良い。今重要なのは、日常を崩すか否かだ」
「私は……知るべきだと思います。またあのような事を繰り返そうとしている人間がいる、と言うのならば」
「それは機械として命令(コマンド)された機能(プログラム)かァ?
それとも、人間としての心からかァ?」
「……はァ。後悔すンなよ……」
「「!」」
後悔するな。すなわち事情を話すと言う意だろう。
「それじゃあ……」
岳羽は少しそわそわとした面持ちで、一方通行の次の言葉を待つ。
「いや、桐条美鶴に話を聞きてェ。恐らくその時に事情の説明を求められるだろォから、その時に話す。
……2度も同じことを話すのは面倒くせェ」
「わ、分かったわ!すぐに桐条先輩に連絡取るから!」
3人は一方通行達から少し距離を取ると、何処かへと連絡を取り始めた。
「良いのでございましょうか」
「あァ?……ンな事言ったら、お前だってそォだろォが」
むしろ、会って間もない俺なンかを信用しているお前の方がおかしい。と、一方通行は言うが、
「それは、貴方様も同じ事でございましょう?」
何せ会って間もない少女達や私に、ご自分のお抱えになられている事情をお話になられるのでございますから。と、オルソラ。
一方通行の事情を知る、と言う事はすなわち学園に潜む影―――『暗部』と敵対すると言う事だ。
それはすなわち、『暗部』に狙われる原因となる為、一方通行が守るべき対象が増える、と言う事で。
何故、守るべき対象、ひいては一方通行の弱点となりうる対象を自ら作ったのか。
それはひとえに、一方通行の信頼の証だった。必ず守る、と言う意思を以って。
「……どいつもこいつもお人よしの馬鹿ばっかで、そいつらにあてられちまったのかもしれねェなァ……」
本当、甘くなっちまった。と、一方通行は思う。
オルソラは、そんな一方通行にただ微笑みかけるだけだった。
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