過去ログ - 仮面ライダー ―『約束 2011』―(魔法少女まどか☆マギカ×小説版仮面ライダー)
1- 20
2: ◆U7CDgQgh.w[saga]
2011/05/22(日) 19:43:48.97 ID:r+8ZPoNy0


―――そこは…実に異様な空間であった


何処までも何処までも続く、白と黒、ただその二色のみで構成された空間。
チェッカーズフラッグを思わせる白黒の市松文様の、歪みきった螺旋階段、
錯覚かとすら考えてしまう程に長い長い廊下、宙に浮き回転する、複雑な文様を描く切り紙状のオブジェ……

ここは果たしてアントニオ=ガウディの作か、それともフリーデンスライヒ=フンデルトヴァッサーの作か、
兎も角、人智を大きく跳び越えたセンスによって満たされた、真っ当な人が造ったとも思えぬ、奇っ怪極まりない建築物であった。


―――その中を、一人の『少女』が駆け抜ける。


桃色の髪を、赤いふた筋のリボンで左右に纏めた、可愛らしい少女であった。
まだ発展途上ながら、ハリがあって、モチモチとした感触の少女の肉体を包むのは、
白いストッキングに、可愛らしい靴、クリーム色を基調とした、どこかの学校の制服と思しきスカート姿。

身長、体格、顔立ちから判断するに、年齢は十代の半ばであろうか。
だとすれば、彼女の体を包むソレは、何処かの中学校の制服なのであろうか。

「―――ハァ」
「―――ハァ」
「―――ハァ」

少女は、白と黒の陰陽二色が描く螺旋回廊を駆け抜ける。
口からは、過度の運動により上がり切った息が漏れ出て、頬や額には汗が伝っているにも関わらず、
少女は決してその足を止める事は無い。

―――行かなくては、ならない

少女の考える事は、ただそれだけであった。
その思いだけを胸に、少女は、走る走る走る。
白黒だけの世界で、引き起こされる目の錯覚に、目測の狂うこの世界を、この空間を、
それでも、何処とも解らぬ終着地点を目指して走り続ける。

自分が何処へ向かっているのか?
自分は何故、そこへと向かっているのか?

その両方ともが、少女には判然としていない。
ただ、行かねばならぬ、と言う強迫観念めいた衝動だけに従って少女は走る。

解らぬ筈の終着点、知らぬ筈の終着点。
しかし、不思議と、体は自然に動いた。
肉体が、何処へ行くべきかを知っているかの様だった。

その導きに従い、彼女は走り続け―――

「―――ハァ」
「―――ハァ」
「―――ハァ」
「やっと……見つけた」

そうして、彼女は辿り着いた。
目の前には、都合20段ほどの、やはり白黒文様の階段があり、
その先に、唯一この世界で『白』と『黒』以外の色を備えた、
緑色の『EXIT』の誘導灯と、その下の分厚く大きな金属製だと思われる扉が見えた。

乱れた息も、高鳴る心臓も鎮める事無く、彼女はそのまま階段を駆け足で昇って、

―――ガシャン

ドアノブを回せば、重々しい金属音が響いて、
その重厚な外見に反して、扉は軽い感触で開いた。

少女は扉を潜り―――そして見た。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
166Res/136.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice