124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/11(木) 21:20:58.90 ID:pNWNt2dIO
そして今二人は上条の住む部屋に向かうべく足を進めているのだが、美琴は未だ海原の存在に気付いていない。
上条以外何も見えてないという顔で、もはや腕だけでなく身体全体を密着させるように寄り添っている。
上条はふとこの状況を何かに使えないかと思い至り、足を止めた。
この状況、とは美琴が海原の存在を知らない事。
何か、とはもちろんこれから美琴とするナニかについて。
トイレで海原についてこいと言った時にはさして深く考えてはいなかった。
多少驚きはしたが元より自業自得な部分もあるためこの事について言及する気はなかったのだ。
ただ、全くの他人ではなく顔見知りなだけにあのままスルーというのも変な気がして、咄嗟にあんな言葉が口を衝いて出たのだった。
なのでこうしている間に人ごみに紛れていなくなっていたとしても構わないとも思っている。
一度別れてしまえばもう会うことはないだろうし、後腐れもなさそうだ。
しかし、律儀に最後までついてきたら?
そこまで考えて、先程より強めに袖が引かれる感触にはっと我に返った。
「どうしたの?立ち止まったりして」
怪訝そうな顔が下から覗き込んでくる。
潤んだ瞳がいつもの凛々しい眼差しに戻っている。
残っているのは、少しの頬の赤らみ。
それと待ちきれないのか、少しそわそわとした様子だった。
「何でもねえよ」
上条はごちゃごちゃと考えるのをやめ、美琴に向かって薄く微笑むと袖を引く手を取って再び歩き出した。
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