69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/31(火) 23:15:47.99 ID:EwXpFxGxo
とうとう最後までこの異常事態に乱入する者はなかった。
それは果たして幸か不幸か、それとも気付かなかっただけで空気を読んで見なかった振りをした誰かがいたのか。
少なくとも一番空気が読めてないのは自分だな、と笑えない自虐で口角を上げる。
手のひらの精液が粘っこくて気持ち悪い。
水は使えないので、とりあえずとしてハンカチで拭い取り、ゴミ箱へ捨てた。
小さく項垂れるものをしまって、何もなかったような姿に戻る。
我を忘れて没頭した割には、終わってしまえば思いの外冷静な自分が馬鹿馬鹿しい。
それでも先ほどと状況は何も変わっておらず、いつ自分がここにいる事を知られるか、忘れていた焦りが戻ってくる。
とんでもない事をしてしまったという事実より、それを知られる事だけを恐ろしいと思う。
その思考の異常さに気付かない事の方が余程恐ろしいと、海原は気付かない。
問題の個室の中はごそごそと騒がしく、身支度を整えているようだった。
「あぅ……こぼれちゃう……」
「とりあえずこれで拭くか。んであっち行って、服もちゃんとしてきな。外で待ってるから」
「ん、わかった……当麻のは、私が綺麗にしたげる」
「っあ、みっ、美琴さん!?うあ、ちょ、あっ」
じゅる、ずずっと啜る音が耳を引っ掻く。
背筋を撫でる痺れはもう来ないけれど、空いた胸の穴が音を立てて軋んだ。
いつでも逃げ出せるはずの足はまだ、動かない。
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