78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/06/05(日) 23:42:35.70 ID:/Kp9V7X1o
「あ、あ……」
知られた。
知られてしまった。
恐れていたことが現実となり、頭の天辺からさあっと血の気が引いていく。
冷たい肌に脂汗が滲んできた。
土壇場の言い逃れとして、美琴が出ていってから上条がここへ来るまでの間に偶然入ってきた、なんて都合のいい言い訳が通じる程状況は良くない。
けれど海原は、身体が示す程緊迫や焦りを感じていなかった。
さっきはあんなに恐かった。今もどうなってしまうのかと身体の震えは止まらない。
それなのに心の中ではそんな自分を冷めた目で見つめるもう一人の自分がいる。
どこかで見つかりたかったのか、そして責めて欲しかったのか、それとも海原自身二人を使った事をどうとも思っていないのか。
自分の真意がわからなくて、また恐くなる。
顔は青白く、舌が回らず呻くような声ばかり吐き出す海原を見て、上条は困った顔をした。
「平気そうな顔でもしてりゃ言い逃れられたかも知れねえのに、お前って意外と馬鹿正直なんだな」
どうでも良さそうに頭をがしがしと掻きつつ、はあっとため息をつく。
特に海原の反応が欲しいわけではないらしく、言い訳も相槌もしていないのに一人で話し続けている。
「なんつーか途中で誰かに見つかるより複雑だな、コレ」
今度は上条がうーんと唸る。
上条の性格であれば一発殴られるか、そうでなくとも気分が良いものでは無いので怒ることもあるかと思ったのだが、激昂する様子もなく首を捻る様子に海原は多少拍子抜けをすると同時にそれに対して疑問も生まれる。
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