86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/06/09(木) 00:03:47.39 ID:opEuIVKRo
そのうちフロアから階を変えビルを出て、陽が落ち切った街を歩く。
時間はわからないが人通りは多い。
ビルよりは街中の方が人に紛れられて追いやすいので、海原は見失わない程度の距離を保ち二つの背中を追う。
二人の様子はすれ違うカップルと大差なく、腕を組み寄り添いあって歩いていた。
組んだ腕の先、指先は軽く絡ませて時々きゅっと力が込められる。
上条は肩に頬を寄せる美琴の耳元で何かを囁き、美琴は上条の言葉に顔を赤らめて俯く。
それを見て愛おしそうに微笑む上条。
どこからどう見ても、仲睦まじい恋人と呼べる雰囲気だった。
その内容は、恋人同士でするものであっても外でする会話としては少々憚られるものであったが。
「帰ってもっとしたいだなんて、随分とやーらしいんですね?美琴さんは」
「と、当麻が悪いんだもん。当麻のせい、だもん……」
すれ違う人にも聞こえないほどの小声で話す。
誰かに聞かれたらやっぱり恥ずかしい。そう思う気持ちが美琴の頬に熱を持たせ、声もより弱々しくなるのだが、それ自体上条の嗜虐心をくすぐる事に気が付いていない。
「ふぅん?じゃあさっき綺麗にしたはずのトコが美琴さんの愛液でぐちゃぐちゃなのも?」
「にゃっ、なんで知って……!」
「へぇ、本当にそうなんだ?」
「えっ!あっ、違っ、その……あうぅ」
「さっきから内股気味で歩いてるし、歩幅も小さいしな。わかるよ」
くすりと笑って繋いでいる手をぎゅっと握り締める上条。
彼はこういう時だけカマをかけたり、いつもとは正反対に鋭かったりするのだ。
それは悔しいしとても恥ずかしい。
美琴はついバカ!と罵りたくなるが、ぞくぞくと背筋を溶かすような興奮が心の奥底から湧いてくるのを自覚してもいる。
いつもは鈍感な彼が見せる、中の中まで知っているような意地悪な態度がとてつもなく屈辱で、それでいて抗いがたい力をもって美琴を蹂躙する。
逆らえない。
なら、素直になるしかない。
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