過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その２ -SS速報VIP

過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その２

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13:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2011/05/28(土) 22:14:32.97 ID:CgqKLZJZo
「はじめ！」

俺の声と同時に陳蘭が身を沈め、楽進の足を取りに行く。
何万回と繰り返した動き。
必殺の初見殺し。いわゆるタックルである。
そのままマウント。かわされたらスリーパーホールド。
このコンボが俺達のとっておきである。
これはいざという時にしか使わない切り札だ。

「そこまで！」

マウントを確定させたところで俺が声をかける。

「も、もう一度、もう一度お願いします！」

やや必死に楽進が言ってくる。不本意なのだろう。そりゃそうだ。
恐らく持ち味を全く出せなかったのだろうな。

「いいの、いいの。楽進の実力は分かったから」
「し、しかし！」

食い下がる楽進。

「いいとこ見せられなかったからって焦ることはないって。
　ほんじゃま、勤め先は連絡するんで、頑張ってねー。
　あ、宿はこっちで手配すっから。
　んで、家もいいとこ見つけてやっから心配すんなよー」

楽進は何かあっけに取られている。

「兄さんほんまええ人やなあ、気風もいいし、惚れてまいそうやわー」
「おうよ、ありがとなー。家賃も安くしとくから安心してくれていいぞ」
「すごいのー。感激なのー。」
「ほいさ。後で連絡入れるから今日はもう休んどきな」

そう言って俺と陳蘭はその場を去る。
…彼女らが見えなくなったくらいの所で陳蘭に問いかける。

「で、楽進はどうだった？」
「は、はい。素の身体能力だけならわたしより上です」

やはり、な。っちゅうことは俺より上でもある。
同姓同名というわけでもなく、本物なんだろう。
思わぬ拾い物に俺はほくそ笑む。
どうせ優秀なんだ。最初っから優遇して囲い込んでしまおう。

「…なんか、楽しそうですね」
「ん？ああ、いい人材を拾えたからな。いや、ついてたわ」
「…三人とも可愛いですもんね」

ん？

「い、いや、陳蘭、そうじゃなくてな？
　純粋に人材としてだな…」

慌てる俺を見て陳蘭はくすり、と笑う。

「ふふ、冗談ですよ。二郎さまったら慌てちゃって」
「あ、あのなあ」
「いいんですよ、別に誰に色目を使ったって。
　わたしはお側にいられるだけでいいんですから」

そういって、腕に抱きついてくる。
あかんて、それ俺のツボやて。

「今晩は、どうされるんです？」

上目遣いでそう聞いてくる。
いかんなあ。最近主導権を握られてる気がする。

「美味い飯屋を見つけたんだ。一緒に行こうぜ」
「はい！」

にこりと笑う陳蘭と一緒に俺は街の雑踏に飲み込まれていくのだった。

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