過去ログ - 王様「ハハッ」 ほむら「・・・は?」
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/06/08(水) 11:24:44.40 ID:YeDjxSsp0
ほむら「魔女の反応・・・急がないと・・・でも、まどかはどうしましょう・・・」

『やっぱり無理・・・あんな死に方怖いよ・・・嫌だよ・・・!』
『マミさん、ごめんなさい・・・わたし、弱い子で、ごめんなさい・・・』
『わたし、マミさんのこと忘れない』
『これって罰なのかな』
『わたしが弱虫で、嘘つきだから』
『きっと、そのバチが当たったんだ』

マドカ「ウ、ウアアアアアアアアアッ!!」

ほむら「ま、まどか!?」

マドカ「イタイ、イタイヨォ…!」

 それまでドールハウスで寝ていたはずなのに、頭を押さえてもがき苦しむ小さなまどか。唐突な彼女の異変にほむらは狼狽してただ彼女を両手で包み慰めることしか出来ない。

ほむら「まどか・・・まどか・・・」

 まどかの悲鳴は次第に大きくなっていく。体を反らせては、屈めての連続だ。ほむらは彼女をベッドに置くと、濡れたタオルを持ってきた。ヘベッドの横の棚にそれを敷くと上にまどかを乗せた。だがまどかの苦しみは終わらない。

マドカ「ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…!!」

マドカ「ゴメンナサイ…ヨワクテゴメンナサイ…ウソツキデゴメンナサイ…!!」

マドカ「マミサン…サヤカチャン…ゴメンナサイ…!!」

ほむら「大丈夫・・・貴方は悪くない・・・悪くないから・・・!!」

 ほむらは彼女を両手で掬い、頬に寄せると必死で訴えた。彼女の中で起こっている葛藤を思い、しかし良薬を渡すことも出来ず、ただこうしているしか出来ない不甲斐なさに涙を流した。
 突然の気配にほむらは顔を振り上げた。そこには、黒コートの怪人がいた。

ほむら「貴方は・・・」

 驚いた。間近で相対すると解かったが、その人物は自分と大差ない体格をしている。あれだけ圧倒的な武力を持つ怪人にほむらは錯覚していたのだ。それは現れて、手を伸ばすと、鍵のような剣を出現させて握った。ほむらはまどかを匿い、ベッドの上に乗せると瞬時に時間を停止させた――折角の機会だ。その人物の御尊顔も拝んでやろう。自分の知る人物のものか、そのうち敵であった者か味方であった者か、それともただの新規な存在か。――耳を劈いたのは、まどかの叫び声だった。
 何が起きたのか解からない。視界は霞み、自分は壁に背を凭れさせてカーペットに両手をついていた。その先では黒コートがまどかに剣先を向けている。ほむらは舌打ちをして、再び時間を停止させると右手の盾に収納された拳銃を取り出し、それに向かって三度発砲しようとした。が、そのときには怪人は眼前におらず、そのかわり、手に激しい衝撃を受けて、拳銃を放ってしまった。

ほむら「そんな・・・どうして・・・」

ほむらは悲痛な声を上げ、振り向く。

ほむら「あなた、どうして此処で動けるの・・・?」

 怪人は何も答えない。ただ、フードの深い闇の底から、ほむらを見下していた。――ほむらは毅然と睨み、盾に手を伸ばした。

――邪魔しないで――

ほむら「え?」

――まどかを助けたい――

ほむら「まどかを、助けてくれるの・・・!?」

 怪人は頷いた。ほむらは自分が受けた害意など一切意に介さず、その人物の功績ばかりを讃えて縋った。

ほむら「おねがい、まどか助けて、いきなり苦しみだして、私、どうすれば良いのか・・・!」

 怪人は停止した時間の中、まどかに近付いた。ほむらはそこで、祈りながら二人を眺めるていた。イグニスがこちらを振り向いた。
ほむらは黙って、時間を再開させた。まどかの叫び声にほむらは苦悶の表情を浮かべ、滔々と涙を流す。

 ほむらはキーブレードを握ると、苦しみもがくまどかに翳した。確証は無いけれど、確信が在った。今のまどかを救えるのはキーブレードだけだ。ほむらは彼女のヘの謝罪を呟いた。もうひとりの自分には、聞こえないように。
 キーブレードに操られるように腕を上げ、剣先をまどかに近付けた。もうひとりの自分を窺う。こんな蛮行を見逃し、自分を信じているとは情けない。もしも私であったなら、まどかに剣を向けるような輩は何人たりとも近付けはしないのだが。小さく笑った。
 先端に淡い光が浮かび、伸びるとまどかを包みこんで、一瞬で弾けた。そして、まどかも苦しむのを止めた、頭を押さえる手をゆっくりと下ろして、搾っていた瞼を開けた。その眦から、一粒の涙が流れた。

マドカ「ほむら・・・ちゃん」

 ほむらは目をみひらいた。彼女の瞳には、驚愕する自分が映っている。自分の瞳にも、彼女が微笑む姿が映っているだろう。彼女はそこで張り詰めた糸がぷっつりと切れたように、眠った。ほむらはそれを見届けると、回廊を、廃工場への道に開いた。

 ほむらは彼女に感謝を告げると、まどかの目覚めを待った。そのうちに、魔女の気配は消える。
 目覚めた彼女は、少しだけ大人しくなっていた。そして、ほむらに廃工場へ行くようにと命じた。ほむらはそれを断ったが、まどかの頼みを拒みきることは出来なかった。


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