過去ログ - 一方通行「なァ木原くン。その楽園ではずっと一緒にいられるのか?」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]
2011/05/29(日) 22:56:33.13 ID:ZZs8tIq1o


あの最強の力が失われた日をきっかけに一方通行はどの学校にも研究機関にも属するのを止めた。
だからといってあの最強が放免になったわけではないが、こうして堂々と軟禁して監視するような機関があるわけもない。
彼が独自に調べあげたデータを見てもそんな事実はないはずだった。
一部の研究者が統括理事会の意向を無視して暴走したのか。

もしやモニターの先は一方通行の寮であって、二人は監視に気がついていないのかもしれない。
いや一台や二台ならまだしも、こんな大量の隠しカメラをあの第一位に気がつかれずに設置するのはいくらなんだって無理がある。
統括理事長がその情報収集に利用しているという滞空回線を利用すれば可能かもしれないが――。
むしろ木原が思い出せていないだけで、これこそが統括理事長の意向なのだろうか?

だが、どちらにせよこうして木原がここに無為に立っていることに対する疑問は解決されない。

ますます状況はわからなくなっていた。

自分は木原数多だ。
それはわかった。
ならばここは何処で、何を目的とする場所で、どういう意図であの二人を軟禁していて、それによって何をしようとしているのか。
己という人間の全てを思い出したはずなのに、それがどうしたって理解できない。

それにそもそも最終信号は、木原自身が――。

ズキリ、と頭が痛んだ。
思い出しそうになった何かは痛みによって強制的に掻き乱され、虚空へと消えていった。
それを追いかけようと思考を廻らせて、しかし再び強くなる頭痛に気力が削がれる。

どうやら木原にはまだ忘れている何かがあるらしい。

それが何なのか思い出そうとすればするほど頭痛は強さを増すようだ。

「ちィッ」

だいぶ収まった忌々しい痛みを舌打ちで捩じ伏せて、木原はもう一度モニターに集中した。
思い出せずともヒントの一つくらいは得られるかもしれない。
自分の中に得体のしれない暗い部分があるのは薄気味悪かったが、今そこを掘り下げたところで徒労に終わるのは目に見えている。



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