過去ログ - 一方通行「なァ木原くン。その楽園ではずっと一緒にいられるのか?」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]
2011/05/29(日) 23:11:56.46 ID:ZZs8tIq1o


「……あん?」

一瞬で思考が冷える。

コンソールの上に無造作に置かれた白く分厚い冊子。
黒いクリップで留められたそれは、電子化が進んだ学園都市でも未だ見る紙媒体の研究資料だろう。

被検体。
症例。
実験。

曝け出された中身に踊るのは馴染みのある単語ばかりだ。

確かに数秒前まで存在していなかったそれに一瞬警戒心を抱いて、しかし木原は近づいてゆく。
ここが異常な空間であろうことは大方予想のついていたことであったし、
このまま手ぐすねを引いてせっかくのチャンスを潰すのも癪だ。

もう彼の興味はモニターから目の前の紙へと移っていた。

あのままあれを見続けるのもそれはそれで愉快だが、進展を見せるとも思えない。
有益な情報といえば二人が監視に気がついていない、もしくは気にしていないらしい、という情報だけだろうか。
それよりも明確な状況を解き明かすヒントに彼の好奇心が疼く。

「……被検体#一〇九六に被検体#一〇七六の記憶を代入……虚妄型箱舟依存症候群……?」

紙を手に取り、聞き慣れない用語に戸惑いながら視線を進める。
衣擦れの音が響く灰色の部屋に紙をめくる音が静かに混じった。

記されているのは実験の概要と、その結果生まれたとあるケースについての報告書。
行われている実験は学園都市の主流とは外れているものではあったが、それが木原の理解を妨げることはなかった。

「……つまり、記憶操作による擬似的なクローニングは行えるか、ってことか?」



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