19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)
2011/06/04(土) 00:09:09.81 ID:qXmPl3eAO
「はぁ」と彼は溜め息と一緒に煙草の煙を吐き出して、グラスを持つ。麦茶がまだ半分以上、入っているそれをそのまま一気に飲み干した。
「じゃあ、お前はどうして今の会社に入った？」
「御社の地域貢献への意識と、仕事に掛ける情熱に感動いたしまして、入社を希望しました」
「……本音は？」
「勤務時間の割に高い給料が目当て」
この時勢、本当に珍しい待遇だったので面接を受けたんだ。ただまあ、やっぱりと云うか、当然と云うか甘い話には裏がある訳で。
勤務時間外は『自主的に会社に残り作業する精神』という、いかにもな暗黙のルールがあり、それらに時間外手当など付く筈もなくサービス残業の嵐。
他にも『上司のミスは部下のミス』、『営業成績はノルマをこなすんじゃなく、他人を蹴落とす』などなど、素敵な伝統のある会社だった。
思い出すだけで苛々する。
「お前には話してるけど、酷いぜ？」
「そんな会社、ザラだよ」
「さいですか」
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