106: ◆5yGS6snSLSFg[sage]
2011/06/06(月) 15:30:41.89 ID:ltpjpD84o
「もしもし? 来栖さんの電話で間違いありませんか?」
『そうだけど、おめー誰よ?』
「俺は高坂京介。桐乃の兄貴だよ。一回会ったことあるだろ?」
宅配テロ事件でのあれを“会った”と言っていいものかどうかは考え物だが、顔見知りなのは確かだろう。
もっとも、マネージャーとしては何度か顔を合わせているけどな。
『あん? あー、そういえば桐乃って兄貴いたっけ』
さすがの加奈子も、桐乃に兄貴がいたことは覚えていたようだ。
えらい、よく覚えていたな。
『で、その桐乃の兄貴が加奈子に何の用なワケ? あっ、もしかしてナンパ〜? うわ〜、ちょ〜困るんだけど〜。ほら、加奈子ってばちょー可愛いじゃん? はっきり言ってあんたとは釣り合わないと思うんだよね〜。加奈子が顔覚えてないってことはどうせ地味面なんだろ〜?』
う、うぜえ〜! 俺だって安価じゃなけりゃ好き好んでおまえを口説かねえよ!
だが、ここではっきりそう言ってしまっては話がここで途切れてしまう。
ふっ……見てろよ? 今まで桐乃たちの我がままに付き合ってきた俺の精神力は伊達じゃないってところを見せてやるよ。
「いやぁ……じ、実はそうなんだよ。おまえがあんまり可愛いから一目惚れしちゃってさー。よかったらこれからデートでもしてくれたらなーって思ったわけよ」
『え、ええー? まじかよー。ひひひっ、加奈子ってばまた一人の男を虜にしちまってたみたいだな』
また? ……おまえに虜にされるような稀有な存在がそうそういるとは思えないが、ここは合わせておこう。
「もてない男に夢を見せてやると思ってさ。頼む、めっちゃ可愛い加奈子さん!」
『しょ、しょーがねーなー。そ、そこまで言うなら会ってやんよー』
……ちょろい。ちょろすぎる。おまえ、これからの人生それで大丈夫なの? すごく心配なんだけど。
以前のあやせと加奈子のやりとりを参考にしてみたわけだが、こいつ、案の定おだてに異常に弱いのな。
首尾よく加奈子とデートの約束をとりつけた俺は、早速待ち合わせ場所へと向かった。
「よー。おめーが桐乃の兄貴?」
「おう。こんにちは、来栖さん」
「あ、加奈子でいいぜ。おめー中々見る目あるみたいだし特別な!」
そう言って、にひひ、と笑う加奈子。この一瞬だけ切り取るとかわいいんだけどなあ。
いかんせん、生意気な面があることを知っているだけに素直にそう受け取れない。
「じゃあ今日はどうすんだ?」
「はぁ? 誘ったのはそっちなんだから、おめーがエスコートすんのが筋ってもんじゃねーの? おらおら、この加奈子ちゃんとデートできる幸せを噛みしめながら案内しろっての」
ぐ……言わせておけば。だが、あながち間違った意見でもないので反論もできない。
くそう、こいつは普段アホの子のくせにたまにまともなこというから困る。
「あー。じゃあ、映画でも見に行くか?」
「えいが〜? 加奈子ってそういう退屈なの苦手なんだよねー。もっとおもしれーとこ行きたいんだけど」
く……映画じゃだめか。桐乃はこれで(渋々ではあるが)納得してくれたっていうのに。
これは困ったな。桐乃の時もそうだったが、いきなりエスコートしろとか言われても俺ってそういうのにうといからなあ。
だが、今回はあの時とは違うんだ。今の俺には強い味方がいる。
そう、安価だ。困ったときの安価頼み! 頼むぜおまえら!
どに連れて行けば加奈子は満足してくれそう?
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