403: ◆5yGS6snSLSFg[saga]
2011/06/10(金) 21:55:35.25 ID:keLRz3m8o
「はっはっは。今日は鬼畜なのが続くなあ〜」
ちくしょおおおおお!
「で、用件ってなんですか、お兄さん? ……桐乃まで連れて」
「いや、正確にはおまえに用があるというわけじゃないんだ」
「はあ? じゃあ、なんであやせを呼び出したワケ? 答えによっちゃ許さないケド」
く……せっかく土下座までして桐乃を連れ出したと言うのに、今にも帰ってしまいそうな雰囲気だ。
こりゃあ、さっさと安価を最後まで実行しないとまずいかもしれねえな。
…………関係ないけど、あの昼の安価の後、大変だったんだぜ?
桐乃と黒猫は帰りの電車の中ではずっと無言だし、頼みの沙織は帰る方向逆だしよお。
想像してみて欲しい。俺のいたたまれなさをな。
まあ、今はそれは置いておこう。
問題は次の安価だ。
「水臭いじゃないかあやせ。この前一つになった時は京介と呼んでくれたのに……」
「…………は? はあっ!?」
「ええっ!? な、何言ってるんですかお兄さん!?」
なぜか異常にうろたえるあやせ。
そりゃそうだろう。あやせにしてみれば、『変態に体を許した』という謂れもない疑惑をかけられ実に不快だろう。
……あやせに変態と思われているのは、絶対に認めたくないけど事実だからな。
だが、俺はここで立ち止まるわけにはいかない。
桐乃の機嫌が悪い今、俺は一刻も早く安価を達成してしまわなくてはならないのだ。
「いいか、よく聞け。俺はなあ――」
桐乃はさきほどの俺の言葉にショックを受けているのか、口をあんぐりと開け、完全に呆気にとられている。
「あやせが、大ッッ……好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!」
絶叫する俺。
その絶叫で、ハッと我に帰る桐乃。
そして完全に固まるあやせ。
「ちょ、ちょっと何言っちゃってんの!? あんた、“あれ”は嘘だったの!?」
「嘘じゃない!」
「じゃあなんで!」
「なんでもだ!」
俺と桐乃で押し問答をしている間にあやせが復活する。
それに気付いた桐乃があやせに駆け寄る。
「ごめん、ごめんねあやせ」
兄の不始末を謝る妹。
……これも安価に従った結果とはいえ、なんとも情けない光景だ。情けなさ過ぎて涙が出そうだぜ。
しばらく話し込んでいた桐乃とあやせだったが、やがて意を決したような表情でこちらを睨みつけた。
「…………この変態はちゃんとあたしが処理するから」
「う、ううん、いいの。私もまさかこんな妄想癖まであるなんて思わなかったから……。これからは私もきちんと監視するから大丈夫だよ」
しょ、処理? 監視? 今、なんか不穏な単語が出てきませんでしたか?
「あ、あの〜?」
「「あやせ(桐乃)に近寄るな!」」
「えっ?」
いつぞやの時とは違い、妹からも近寄るな宣言を受ける俺。
「いこっ、あやせ」
「うんっ」
そのまま走り去る二人を、俺はただ見つめることしかできなかった。
1002Res/343.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。