54: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/06/05(日) 15:57:35.69 ID:rzU0xYe0o
所変わって秋葉。俺は待ち合わせ先に例のレンタルルームを選んだ。
かつて桐乃達がメイドのコスプレで出迎えてくれたあのレンタルルームだ。
沙織には先に入っておくと伝えておいたので、あとは沙織が到着すればすんなり合流できるはずだ。
「お待たせしました、京介氏!」
レンタルルームに到着してから20分ほどした頃だろうか、沙織が遅れてやってきた。
「よう」
「して、今日は一体何用で?」
「実はな、おまえを口説きに来たんだ」
「……して、今日は一体何用で?」
「俺の発言をスルーするんじゃない!」
「い、いやいや! 電話でのあれは冗談だったのでは!?」
「冗談じゃねえって! 俺は大まじめだ!」
ひどい……電話でのあの台詞だって俺としてはかなり勇気を出して言った台詞だったのに。
まさか、完全に冗談だと思われていたなんて。
「いいか? 今日、俺はおまえを口説きにきたんだ。だから、真面目に聞いてくれ」
「了解で…………いえ、わかりましたわ。京介さん」
「えっ?」
驚く俺を尻目に沙織は自ら眼鏡をはずし、続いて髪をほどいていく。
「さ、沙織? なにして――」
「真面目なお話ならば、それ相応の態度で聞かないといけませんから。それとも、やはり冗談だったとでも?」
や、やばい。何だか一転して怪しい流れになってきたぞ?
そこまで畏まられると逆にやりづらいっていうか……。
「で、でもさ。おまえ、恥ずかしくないの?」
いつぞやは、眼鏡をはずしただけで真っ赤になっていたというのに。
「……正直、すごく恥ずかしいです。でも京介さんの気持ちと向き合うには沙織・バジーナは相応しくないと思いましたから」
なんてこった。この子、純粋すぎる。心が痛いよ……。
今さら「実は安価だったんだよ。HAHAHA」なんてとても言えん。
しかも、沙織の顔は次第に赤みを帯びてきていて、恥ずかしさを必死に我慢して俺と向き合ってくれているのがありありと分かる。
一番後にしこりが残らなさそう? 俺は一体何を思い違いしていたんだ。
こいつ以上に恥ずかしがり屋な奴はそうそういないってのに。
ぐんぐん気力が萎えていくのがわかる。いかん、このままでは俺の中のスイッチがOFFになってしまう……。
1002Res/343.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。