164: ◆BcaCp9aHJ6[sage saga]
2011/06/18(土) 22:42:46.31 ID:XBY08Lq5o
軽快に言葉を交わす皆から目を離し、ふと目線を上にやる。
そこにあるのは、いつも通りの空。
思ったより時間が経過していたのか、茜色がわずかに混じり始めていた。
そして感じる。
思わず手を握りしめてしまうほどの、達成感を。
戦いを終えて、巴マミの命はそこにあった。
それと同時に、先ほどの幻覚が脳裏に蘇る。
いや幻覚ではない。それはきっと、私がかつて起こしてしまった悲劇の光景。
「っ…………!」
「あらあら、ちょっと、どうしたの」
気がつけば、五体満足の巴マミを固く抱きしめていた。
腕に返される抵抗が、彼女の現存を強く主張する。
漏らす言葉はもう、意味を成していなかった。
「あなたが、あなたが…………!」
「……幻覚、コイツにもかかっちまったみたいでな」
「心配かけてごめんなさい。 大丈夫よ、大丈夫だから」
ぼろぼろ、ぽろぽろと涙を流す。
でもこれは嬉し涙だからと頭の中で言い訳をするけれど、それを聞く人は居ない。
全員が私を生温い眼で見ていることに気がつくのは、しばらく時間が経ってからだった。
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