20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/05(日) 23:29:01.97 ID:Svq2uLgno
カランと乾いた音が響く。
音の主、落下したグリーフシードは、コマの中心軸が細長く尖ったようなもの。
つまるところ、魔女のもの。
今回出会ったのは、魔獣と魔女の性質を併せ持ったものと想像するのがおそらく妥当か。
魔物とでも名付けよう。
そこまで考えた所で、肩に手を置かれ、飛び上がる。
「協力ありがとう。 助かったわ」
「別に、礼を言われるようなことはしていない」
「私が言いたいのよ」
「……なら、ありがたく受け取っておく」
結界が解け、視界が晴れた。
いつのまにか夜も明けに近く、空は白み始めている。
そして緊張が解けたせいか、今更ながらに実感する。
彼女がそこにいることを。
私たちを守ろうとして散った彼女が、夢幻の存在ではなく、確かにそこに。
どうしてこうも、彼女たちは、不意打ちのように私のところへ。
心の準備くらいさせてほしい。
ともすれば溢れそうになる想いの数々を必死に押し留めるのに精一杯で、会話をそれ以上続けられない。
佐倉杏子と基地で会った事を思い出し、さらに感情の波は揺れ動く。
どうしようもなかった。
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