210: ◆BcaCp9aHJ6[sage saga]
2011/06/19(日) 17:20:06.51 ID:hAzv6ppPo
「知ってるの」
「あたしの家だった」
だから勝手を知っているのか。
訓練場所として迷わずここに来たのも、そういう理由があるのだろうか。
杏子の家、一家心中の舞台となった教会。
なにを考えながら彼女は、今そこに立っているのだろう。
「あの頃もここから見る空は、綺麗だったよ」
「そうなんだ」
二人揃って空を眺める。
溢れ返り降るような星。
あたしたちの営みなんてこの宇宙に比べたら、ちっぽけなものなのだろうか。
手を振り、杏子を呼ぶ。
のろのろと歩いてきた彼女を隣に座らせる。
力を振り絞って、手を握って。
「今でも綺麗でしょ」
「……まあ、そうだな」
ちっぽけだろうとなんだろうと、構わない。
あんたに一つの居場所を与えてやれれば、それでいい。
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