310: ◆BcaCp9aHJ6[sage saga]
2011/06/23(木) 23:58:28.93 ID:Cg05IDA/o
「―――――うわあ、すごい」
「絶景、ね」
夜もそれなりに深まって、満天の星空が頭上を覆う。
ホテルから少し歩いた渓流沿いに、その温泉は広がっていた。
「これぞまさに露天、ってか」
「歩いた甲斐、ありました……」
岩に囲まれたお湯は、硫黄の香りをこれでもかと主張している。
ざらざらの岩に腰掛けながら、足を暖める熱を楽しむ。
少し歩いた程度の疲れなど、すぐにどこかへ飛んでいってしまって。
なんとなく、言葉が出ない。
空と地と、私たちを包む世界の雄大さに圧倒されてしまっているからか。
それとも、今日一日限りのこの旅行が、とても楽しいものであるからか。
「こんな日常が、ずっと続けばいいのにな」
そんな私の気持ちは、美樹さんが代弁する。
本当に、こんな時間が、ずっと続いていけばいいのに。
でも。
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