5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/05(日) 23:03:21.11 ID:Svq2uLgno
「ほむらちゃんは、本当に優しいね」
そして、予想外の声を受けてしまう。
その衝撃はほとんど物理的に、私の心臓を叩いた。
「いいんだよ、わかってるから」
ぎゅっと抱きしめられる。
本当にこの子は、神のようなものになってしまっていて、私の力が及ぶようなものではなくて。
そうであって欲しくはなかったけれど、それが現実で。
どうしようもない現実で。
感じるはずのない暖かさを胸の中で感じながら、言葉を。
「魔法少女というストッパーがなくなった魔獣は、いずれまどかの領域に踏み込んでくる」
「……わたしが世界に与えた歪みを、正すために」
「全時間軸におけるあなたという存在の消去、そして世界改変という事実の消去という形で」
淡々と、
吹き飛ばしたはずの絶望を。
「わたし、何もしなかったことになっちゃうんだね。
契約したあの瞬間に戻って、
だけど一つだけ違って、きっとそこにわたしはいない」
彼女の声は、かつて聞いたものとは比べ物にならないほど弱弱しい。
そんなことをさせてたまるものかと、そう思うのに。
そう決心して立ち上がったのに、こうして声を発する彼女の前に、私はどうしても。
最後の一歩を踏み出せず、いつまでも弱虫なままで。
そんな自分を後押しするのは、いつだってこの子。
「だから、お願い」
この一言にだけは力が込められていて。
桃色のソウルジェムが、私の胸元へと差し出された。
335Res/235.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。