過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」4
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6: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/06/05(日) 23:57:13.21 ID:gv52cjXA0


「あの子がさ ――― 」

美琴は、僅かに身体を一方通行に寄せた。
何故自分でもそうしたのかわからなかった。
甘えるつもりではなかった。少なくとも自分はそのような気は無いはずだ。
けれども、一方通行の肩と触れ合った瞬間耳の後ろが、首筋が、熱くなった。


「あの子がレベル0だって知った時、正直ホッとした」

一面灰色の空間のなかを紫煙が立ち上る。

「レベル5になった事を後悔してるわけじゃ―――多分無いと思う。積み重ねてきた努力は私の誇りだし、守れたものも沢山あるから。

 でも、自分がしてきた実験をあの子にもさせたいとは思えない。だから、もし想ちゃんがもっと大きくなって、それを望んだとしても私、きっと反対すると思う。

 ううん、絶対する電極やら薬やら、知った上でさせたいなんて思える親の気が知れない。」


自嘲とも、軽蔑とも付かぬ声だ。
酷く矛盾しているようにも聞こえるが、それは真理だろうと一方通行は煙草の煙を見つめる。
溶けていく白い塊、匂い以外呆気なく消えるそれを儚いと思ってしまうのは、此処がそういう場所だからだろうか。


「都合がいい話かな」

「いいンじゃねェのか?」


一方通行はエントランスの重苦しいガラスの扉から見える雨に視線を投げかけたままだ。
その横顔を、美琴はそっと見つめる。

「都合のいいのは今に始まったことじゃねェ。第一、都合のいい事抜かしてる筆頭は誰だと思ってンだよ」

声が微かに震える。
笑みが混ざり合った、からかうような、そんな稚気を秘めている。




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