過去ログ - とある暗部の超電磁砲 -SS速報VIP

過去ログ - とある暗部の超電磁砲

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40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[saga]
2011/07/05(火) 00:50:09.77 ID:16KSaAYAO
～２～

麦野「………………」

御坂「………………」

八日目を迎える事なく死に急ぐ、汗ばんだアブラゼミのコーラスが響き渡る中――
病的なまでの潔癖さで解体された死体の中二人は睨み合う。
互いの瞳に映り込んだ、正視に耐えない醜悪な自分達が見て取れるほどに。
しかし麦野から目を切る事はないし御坂からも目を逸らす事はない。
粛清以外の味方殺しは御法度、と今この場にいない三人から教えられた暗部のルールを御坂は正しく理解していた。

麦野「……くっ……」

しかし、そんな御坂を見下ろす麦野の優麗な美貌が見る見るうちに歪み、軋み、緩んで行く。
唇を三日月のように吊り上げ、下がった目尻は鼠を前にした猫のように。

麦野「あはははははははははははははははははははは！！」

御坂「………………」

目の前で炸裂する哄笑、鼻の先で破裂する狂笑。それは笑顔という正の要素に対し、負の要素にまで貶め暗黒面を剥き出しにするような笑い方。
風穴の空いた研究所から降り注ぐ光を受ける麦野、落ちた影に佇む御坂。
恐らくは骸骨が笑い出せばきっとこんなおぞましく呪わしく穢らわしいのだろうと想像させるにたる笑いの後――
麦野が壁に手をつき、間に挟まれた御坂を改めて見下ろし、舌舐めずりした。

麦野「おい、口の利き方もついでに教えてやろうか？その貧相な身体に。授業料はあんたの最後の持ち物だけど、それで構わない？」

御坂「――命以外何もかも失ったクソッタレな私の人生、って事？」

麦野「わかってんじゃねえか。だったらさっさと仕事しろよ」

その舌舐めずりに、御坂の中に残り香のような感情の残滓が嫌悪を覚える。
全身の毛穴から脂汗が、全身の産毛から冷や汗が湧いて来る。
麦野にとっては、鳥の巣のように焦げ付いた毛髪の乗った頭部がなければとても人間と判別出来ないような……
二人の足元に転がっている死体の一つに御坂が加わった所で何ら痛痒を感じない。
むしろ御坂が牙を剥いて合理的に粛清したいという気配がありありとわかる。

御坂「――わかったわよ、リーダーさん」

麦野「――新入りって事で今回は許してあげる。二度目は期待しない事ね」

そこで麦野はこの酷暑にあって周囲の温度を下げるような……
底冷えさえ感じさせるアルカイックスマイルを浮かべた。

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