821: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:14:16.55 ID:Wm3YHSc8o
「……負けたのだろうな私は。 クイト、"いや"、」
何かを言いかけたクランスを、クイトはフードの奥で嘲笑うように口角を歪ませ、
「気負うな。 "あれ"の存在を知る者には私が情報操作を加えておく。
少し記憶を弄るだけで、事実上"あれ"はこの世から完全に消え去った事になる。
総大主教という君の立場に傷がつくような事はないさ」
「案内しなければならないか」
「場所さえ教えてくれたら私が勝手に持っていく。 ロシア成教の魔術師達の事は気にかけなくていい。
殺してもいなければ、後遺症が残るようなダメージも負わせてはいない。 少し眠ってもらっているだけだ。
建造物の破壊に関する件についてだけは、申し訳ないとしか言い様がないがな」
クランスは頭痛に悩むように手を額に添えながらクイトの望む物がある場所を教える。
そこはクランスが今いるこの部屋よりも膨大な数で厳重な術式が施されているが、
このクイトという魔術師は同じようにあっさりと突破してしまうのだろう。
「さて、あとは………そうだな。 念のため大量の氷と『クーラーボックス』を調達するか」
意味のわからない事を言いながらクイトは音も立てずクランスの前から姿を消した。
クランスが力なく座り込み、彼のいる部屋に救援目的の魔術師達がやってきたのは
それから数分後の事だった。
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