過去ログ - もしも「まどか☆マギカ」が2クールだったら
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19: ◆NqJArk5IVdBU[saga]
2011/06/30(木) 23:54:07.71 ID:/ZSKL5Oxo
 放課後。
 まどかとさやかの二人は、昨日の件で質問攻めにするため、ほむらと待ち合わせていた。
 ファーストフード店で腰を据えて、三人は話し始める。

 キュゥべえとの契約、魔法少女とソウルジェム、魔女とグリーフシード。
 彼女達が昨日見知った存在、これから関わるであろうものの一つ一つに、一通りの説明をした。
だが、それらの関係性についてまで、ほむらは深く語ろうとはしなかった。つまり、キュゥべえが
普段魔法少女に語っているであろう程度の内容に、留めたのである。
 違うのは、決して契約しないように、繰り返し念を押した事だ。

ほむら「魔法少女になるという事は、結局は人間をやめるというのと同じ事よ。
    一度契約してしまえば元の生活には戻れない。
    人と違うものを見て、人知れず戦って、人知れず死ぬ。
    正義の味方だとか、そんな生ぬるいものじゃない」

さやか「でもさ、人間をやめるっていうのは、ちょっと大げさじゃない?
    誰でも秘密の一つや二つはあるんだし」

ほむら「そういう甘い考えが身を滅ぼすのよ」

 ほむらは手元のアイスコーヒーを回しながら、喋る。
さっきからちっとも口をつけようとしないな、と、さやかは関係の無い事を考えた。

ほむら「食物連鎖って、知ってるわよね」

さやか「知ってるけど、何か関係があるわけ?」

ほむら「魔法少女は魔女を討つ存在ではあるけれど、もしも魔女がいなくなれば私達は生きられない。
    ただ生きているだけでもソウルジェムは穢れていく。
    穢れを浄化するために、グリーフシードを集めなければならない。
    ある意味で、共生関係なのよ。人が家畜を食べて生きるように、魔女は人を食べて、
    魔法少女が魔女を食べる。そうしなければ私達魔法少女は生きていけない」

 まどか達の表情が強張る。特にさやかのそれは怒りをはらんでいた。

さやか「じゃあ、あんたは人が家畜を育てるのと同じに、魔女を育ててるわけ?」

ほむら「そんなことしないわよ。でも、事実、そういう魔法少女も中には居る。
    そうして生き残った魔法少女の方が、却って多くの魔女を倒して、
    より多くの人の命を救う事だってある。
    別に意地悪で嫌な例えをしてるわけじゃない。そういう仕組みなの。
    魔法少女として生きる限り、いつか必ずこの仕組みを思い知らされる。
    そうして人と違う価値観を持って、人間よりも、魔女に近い場所に生きるようになる。
    私達に必要なのは、人間よりも、魔女だから」

 慣れない講釈にほむらは疲れを感じながらも、懸命に言い聞かせる。
 それは核心を避けながら嘘も使わず、事実に近い悪印象を与えるための、方便だった。

ほむら「もし運良く生き残って魔女を狩りつくせば、別の狩場も必要になるわね。
    別の街へ行って、そこで暮らす事だってある。
    魔法少女同士で縄張り争いをして、住む街を追われる事もある。
    そうして次第に人の社会との関わりさえ、足かせになって、
    そんな生き方が普通の人間に理解されることは、決して無い」

 実際の所、彼女達の問題は、長く戦い抜いた先にあるわけではないのだが、それをストレートに
話すわけにもいかない。ほむらは遠回しな理屈を並べて、説得しようとしているのだ。
それは、彼女が一度諦めた道でもある。


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