過去ログ - 無垢「フィオナの森は、俺が守る」
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973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/16(火) 23:23:34.48 ID:tx+Z0WZR0

銃口は向けない。向ければ戦いの合図になるからだ。

だから誰もが銃のトリガーに指をかけていた。誰かに向けないまでも、何かしらを撃つ準備は整えている。


その銃はバロムに向けるべきものであるはずなのに、火文明の民には迷いが生じている。

今まさに、誰かが発砲してもおかしくはない。



ドラグ「愚弄するな、邪神め」



群れの戦闘を飛ぶジャイアントインセクトの上に、細身のドラゴノイドが舞い降りた。

深紅の背を全ての火文明の民に向け、一人悪魔神に向かい合っている。


「ドラグ!」

「危険だ……!」


今この時まで味方撃ちを脳裏に掠めていた者たちは、先ほどの光景を思い出してとっさに身を乗り出す。

反射的にそうしたドラゴノイドの皆が思い出した。



バロム『お前は私に刃向うのだな』

ドラゴ「意味のある戦いだけが、我らドラゴノイドを真の龍に転生させる」

バロム『ハッ、死を司る私に、成れもしない死後の姿を騙るか』

ドラゴ「たとえ」


戦杖は震えなく、バロムの眉間へ向けられた。


ドラゴ「死して龍になれずとも」

ドラゴ「今、我らが胸にある龍の魂だけは、汚すわけにはいかん」



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