過去ログ - 天子「どうせ私なんか、術もアニマもない、人間のクズなのよ!」
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10: ◆ABsCEpS5PQ[saga]
2011/06/13(月) 20:51:14.02 ID:tIjaTx+e0
──ヴェスティア

ヴェスティアにつくと、道中疲れを感じていた筈の脚がだんだんと軽くなる。
私の体重は軽いから、これで相応かな。
なんて感じたのはいいとして、貰ってきた地図を頼りに昔から夢見ていた酒場を探す。
いつかその場所から私のディガーとしての人生は始まるのだと、そして今それが叶おうとしている。

見つけた。大きな看板が店の前に置いてある。
今日のランチ……焼肉定食、そして半霊たまごアイス……。
傍らに浮かぶ半身と共に身の危険を感じるが、さすがに客を食材にはしないだろうと自分を納得させた。


思ったより少し重いドアにぐっと力を込めるとそれは開き、酒場の中が見えた。
チェックのスカートを履いた緑髪の女性と、壮年の店主が目に入ってくる。
思ったよりも人が少ない。もしかするともうどこかのパーティーが出発してしまったのかもしれない。
そんなことを思っていると店主と目が合い、愛想笑いでそれに応える。
初めてというのもあって話しかけにくい雰囲気ではあるけど、私は勇気を持ってカウンターに立っている女性に声をかけようとした。

そのとき、私の後ろでバタンという恐らく勢いよくドアを開けるものであろう大きな音が響いた。
恐らく、というだけあって私はすぐには振り向けなかった。びっくりして。腰を抜かしたから……みょん。
とはいえ、私の目の前に立っていた女性も振り向かなかったんですけど。


?:
あーあ、遅かった。もう出発しちゃったのね。


その声にようやく振り向くとそこでは腋の空いたみょんな巫女服の少女がキョロキョロと辺りを見回していた。
見るからに残念そうな様子で、私の予想──もうどこかの集団は出発してしまったのかも?」──を肯定していた。

マスター:
残念だったねお嬢ちゃん、ついさっき皆さん出発しちまったよ。

?:
追っかければ間に合うかしら?

マスター:
無駄無駄。出発後に仲間を増やしたりしないもんだよ。
分け前でもめるからね。
あんた、まだ駆け出しだね?

?:
そんな言い方しないでよ!これでも実力には自信があるのよ。
足りないのは経験だけよ。

マスター:
ハハハハ。若い人はみんなそう言うね。
まあ、焦らずにがんばる事だよ。

?:
でっかい探索行だって聞いてたんだけどなー。
はーあ、どうしよう。


どうやら私と同じ駆け出しである彼女は、参加する予定だったパーティーにおいていかれてしまったようだ。
身も蓋も無い言い方をすれば、彼女が勝手に出遅れただけなんだろうけど……これは素人同士親睦を深めるチャンスかもしれない。
先程からコーヒーを飲む以外微動だにしない緑髪の女性はなんだか話しかけ難いオーラを放っているし、私はこちらのドジな少女(仮)に話しかける事にした。




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