過去ログ - 天子「どうせ私なんか、術もアニマもない、人間のクズなのよ!」
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◆ABsCEpS5PQ
[saga]
2011/06/13(月) 20:34:37.02 ID:tIjaTx+e0
てんこ追放
今日は天子が緋想の剣の儀式に挑む日
儀式とパーティーの準備で城はごった返している
八雲家先祖伝来のクヴェル、緋想の剣
この剣は触れた者のアニマに反応する
世継ぎは7才になると、このクヴェルに触れる儀式を行い
緋想の剣と王家を受け継ぐ資格を示すのだ
紫:
どうしたの!集中しなさい!剣にアニマを込めるのよ!
儀式を始め一分が経つか経たないかの頃合いだった。
緋想の剣になんの変化も現れないことに痺れを切らしたてんこ12世、紫は自らの危惧を無理矢理払拭するかのように激しく告げた。
この時点で彼女は、儀式の失敗をほぼ確信しつつも気付かないふりをしていた。
それ程に認められないことだったのだ。
天子:
……っ
辛辣な響きを与えられた天子の額には大粒の汗が滲んでいて、歯を食いしばり憔悴しきったその顔は今にも泣きだしてしまいそうであった。
息を飲む客人、父の厳しい表情、目の前の何の反応も示さない剣が織りなす失望の空気は7才の天子にはあまりにも残酷なものだった。
一度父の表情を確認した後は俯いてしまい、視線を上げる事ができなかった。
儀式は誰の目から見ても失敗だった。
しかしここにいる誰もがこの儀式を終わらせようとはしない。
天子は汗の滲んだ拳で緋想の剣を握り、どこにも逃げられないままこの事態に、何もできない自分にじっと耐えるしかなかった。
そんな折、救済とは程遠い父の声が響いた。
紫:
なんということなの!
会場がその声で大きく震えた。
そして天子は共鳴するように震え上がった。
誰も動かなかった。
全てが縮みあがり物音ひとつ立てようとはしなかった。
しかしそれも一時の事、緊張の糸が綻び、動揺のざわめきがあちこちから湧いてくる。
それはすぐに拡散し始め、徐々に会場を包み込んでいった。
重苦しい儀式の空気から解放され視線を上げた天子だったが、その涙で潤んだ眼は彼女に背を向け静かに去っていく父の方には最後まで向けられなかった。
こうして一人取り残された天子を残し、緋想の剣の儀式は終わった。
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