394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/06/25(土) 20:10:11.19 ID:HYq+qO6lo
>>184
男は覚醒した。
目の前には白い天井。
その中心には蛍光灯がチカチカと部屋の中を照らす。
しかし、それだけだった。
そこにあるのは、自身を寝かす為のベッドと、部屋を照らすための蛍光灯、無駄に小奇麗な洗面台と和式のトイレ、
後は申し訳程度に設置された小窓しかなかった。
それだけとか言ったが、意外とあった。まあいい。
「ふう、ようやく少年院入りか。やれやれだぜ」
男の名はドラゴン。今はその名を奪われているのだが、名無しの権兵衛では締まらないだろう。
故に便宜上彼の事はドラゴンと呼ぶ事にする。
さて、彼は自身の服装を確認すると、成程、テンプレ通りの縞柄囚人服が着せられていた。
どうやら本格的に囚人として扱われるらしい。
上等だ。ここなら『アンチドラゴン』の手も届くまい。
ならばいつまで居られるかはしらないが、存分に休むとしようか。
実を言うと、彼に鎮静剤を打ちこんだ精神科医が、
「厨二病が相手なのだ。厨二が憧れそうな舞台を用意してやれば暴れまい」と
少年院の看守に伝えておいたために、このような如何にも「囚人してます」みたいな服装にされたのだった。
事実、ドラゴンは満更でもない様子だった。
これを着せたのがかわいい女の子と思うと、思わず股ぐらがいきり立つ。
しかしそんなわけあるまいと思い、男が自身の体に手をつけるところまで想像し、
ドラゴンのドラゴンはトカゲに還(もど)った。
・・・
「ホラ、734番、出ろ」
あの後再び眠りに着いたドラゴンは、看守と思われる声によって目を覚まさせされた。
734番だって、番号で呼ばれるとか……くくっ脱獄しがいあるぜえ……まあ、しかたねーから大人しくするんだけどなw
ちなみに、番号で呼ぶのもドラゴンだけだ。故に点呼とかはしない。
と言うか学園都市の技術を以ってすればそんなもの必要ないのだ。
まず少年院に収監されるにあたり、各々にナノマシンが血液内へと注入される。
そのナノマシンは使用者の体調や現在位置を測る為のモノで、出所する際に停止するための信号を送り、ナノマシンを止めるのだが、
停止すると血液の中で無害な物質に変換され、そのまま体外へと廃棄されるので安心だ。
なおそれを止めない状態で脱獄などを図ると、少年院から半径5m離れたところでナノマシンが何か血中の何かと化学変化を起こし何かベンゾジアゼピンを生成して血中に分布される。
ベンゾジアゼピンとは、いわゆる睡眠薬で、血中濃度が濃くなる事で睡眠を促すものである。
そんなわけで脱獄をしようとすると途端に眠くなり、気付けば牢屋に戻っているという、獄中七不思議のひとつになっている。
ところで、学生の街の少年院で何十年も収監されるかと言えばそうでもない。
なぜならば。
飽くまでここは『学生の街』なのだから。
本来ドラゴンも何年も収監されるわけでは無かった。
ドラゴンの学園都市侵入に対する目的を聞き出して、何日かしたら追い出す予定だったのだ。
そうとは知らずに当のドラゴンは。
「ふふっ……楽しい収監生活日記でもつけてみようかな(喜)」
これから来る収監生活を想い、妄想を広げていた。
それほどまでに虐げられ、人肌恋しい生活を送っていたということだろう。
しかし、ドラゴンは知らない。3日後には、少年院から、解放される事を。
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