302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/08/14(日) 21:42:48.96 ID:Kids5Lg0o
「へえ…」
渡はかなり世間のことに疎い。
かつてひきこもりであったこともあり、父親の音也がそんなふうに取り上げられていたのは初めて知った。
「たしかその記事を書いた人は女性でした。
僕はいままで周りから天才と言われ続けてきたので初めてでした。
あんな事を書かれていたのは」
昔から天才と呼ばれ続けていた恭介にとって、その男がどのような人物かを知りたくなった。
「それからしばらくは、音也さんの事について調べ続けました。
ですがまともな情報は一切出てこない上、20年以上前のある日から姿を消した、そうわかったんです」
音也を最後に見たとすれば、キングとの戦いの前。
これ以降はもはや普通の人間の前にはその姿を表していないだろう。
「20年以上前に、紅音也さんに一体何があったんです?」
「父さんはね、もういないんだ」
「え…」
また聞いてはいけないことを聞いてしまったと恭介は思った。
「でも母さんは言ってたよ父さんは心清く誠実な人間だったって」
その事は3年前、22年間過去へ遡り、短い間とはいえ共に過ごしたのだ。
何かを守るために、文字通り命を削って過去のキングに立ち向かった音也。
あれが紅親子の最初で最後の時間だった。
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