608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/10/23(日) 21:13:29.14 ID:Le5wMbNdo
 「あの人の言うことも分かってます」 
  
 次狼の言う通り、渡の心に迷いがあったのは確かだ。 
  
 「嶋さんは…父さんなら、破ってはいけない約束を破った人が居た時どうすると思いますか」 
  
 「彼なら…か。きっと、自分で責任を負って後悔しながらでも相手をどうにかするだろうな」 
  
 渡も同じ考えをしていた。 
 音也はそういう人間である。 
  
 普段はふざけているが、目的を果たすためなら命すら張れる。 
  
 母親の真夜はそういったところにも惚れたのかも知れない。 
  
 「やっぱり…そうですよね」 
  
 「分かっていたのだろう?ならば君のやりたいようににすればいい」 
  
 「僕の…やりたい様に…」 
  
 大村を倒す。 
 それが今渡のやらなければならないこと。 
  
 だが、本当に倒せるのだろうか。 
 かつて渡や音也と同じく、音楽を愛していた者を。 
  
 それでもやらねばならない。 
  
 「でも…僕は…」 
  
 やはり心の中では迷ってしまう。 
 本当に短い期間であったとはいえ、バイオリンを作る技術まで教えてくれた人なのだ。 
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