過去ログ - とある暗部の軽音少女(バンドガールズ)
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[saga ]
2011/06/26(日) 16:20:51.54 ID:iNmol0qk0
エピローグ
とある収容施設にて。
牢屋、というほど薄暗くなく、比較的きれいで設備の整った独房の隅に、一人の少女が縮こまって座っていた。
その少女は、かつて放課後ティータイムのメンバーとして一世を風靡し、暗部組織『ユニゾン』のメンバーとして闇の世界に君臨していた、中野梓。
しかし今は見る影もなく、もともと細い体はさらにやつれ、腕には引っ掻いた痕が多数見受けられる。
(私……なにやってんだろ)
梓は収監されてからずっと、同じことを悩み続けていた。
(放課後ティータイムに憧れて、場所を探し当てて、事件に巻き込まれて。
最初は人殺しなんて嫌だったけど、先輩達に迷惑かけないようにって、闇に堕ちることを決心した……はずだった)
(なのに、憂に見つかった瞬間、頭が真っ白になって……先輩たちを裏切って、自首しようなんて言って。
私の覚悟なんて、その程度のものだったんだ。最後まで暗部として戦った先輩たちに比べたら、私なんて……。私のせいで……唯先輩は……!!)
(……ああもう、これはもう考えないようにしようって決めたじゃない! こんなこといつまでも考えたってしょうがない。もう先輩たちは、戻ってこない……
だから、私は私の決めた道を行くしかないんだ。表に戻って、暗部と戦うって……でも)
(ダメ。私、死にたいって考えてる。そんなこと、考えちゃいけない。私は、生きなきゃ……死にたい……会いたいよ、唯先輩……
早く、みなさんのところに逝きたいです……もう嫌です……!)
表の世界で生きると決心したはずであったが、長期にわたる孤独で単調な日々が梓の心を蝕んでゆく。
自責の念が積もりに積もり、何度も自殺未遂を起こしていた。
(憂……ごめんね、私のせいで、唯先輩も、憂の心も……!)
梓が腕を引っ掻き始める。すると、聞きなれた声が独房内に響く。
「梓、来たよ」
それは今の梓にとって聞きたいようで聞きたくない声。純の声だった。
梓がゆっくりと顔を上げると、面会用の窓の向こうに純と和の姿があった。
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