過去ログ - 杏子「あたしの恋はベリーハード」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage ]
2011/06/30(木) 20:31:53.59 ID:pd9i2CU5o
「暁美さん?」
物珍しさに取り付かれた、クラスメート達の質問攻めをストップさせたその声の方に振り返ると、
優しそうな表情をたたえた女生徒がほむらに微笑みかけていた。
「保健室、行かなきゃいけないんでしょ? 場所、分かる?」
「え?…いいえ…」
「じゃあ案内してあげる。 私、保健係なんだ」
ほむらが蚊の翅音のような礼を述べようとしたその間に、その女生徒はほむらを取り囲んでいたクラスメート達に、
「みんな、ごめんね。 暁美さんって、休み時間には保健室でお薬飲まないといけないの」
と、ほむらに代わり説明を終えてくれていた。
ほむらには、苦痛を伴う質問攻めから自分を解き放ってくれたこの女生徒は女神に思えた。
しかし連れ立って歩き出すと、話題の見つからないほむらはただただ黙って彼女について歩くことしか出来ない。
ほむらは自分を気の利かない奴だと責め、きっと案内してくれているこの娘もそう思っているに違いないと思い始めていた。
永遠に届くことはないと知りつつも、心のなかで目の前の後ろ姿に謝り続ける。
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