過去ログ - 唯「アイスレンダー」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/07/01(金) 23:11:15.81 ID:wq3gp6Kw0
それから私たちは、文化祭やら受験やらの忙しさで
自然消滅してしまったように思う。
「ように思う」っていうのは、私たちが本当に終わってしまったのか、
私にはまだ、よくわからないからだ。

2人でベッドのシーツをぬらすことがなくなっても、
和ちゃんの私に対する態度は変わらなかった。
和ちゃんのそういうとこ、ちょっときらいだな、って思った。
変によそよそしくなってくれていたら、みんな変に思って、
きっと私に「和と何かあったの?」ぐらい聞いてくれたはずだ。
それがなかったから、私は、やっぱり和ちゃんにいつものように接するしかなかった。

まるで、私と和ちゃんは、うさぎとかめのデキレースだった。

追いついたとおもうのに、それは和ちゃんが、私のことを待っていてくれただけだったんだ。

それでも、どんなに悲しくても、どんなに言いたいことが眠れない夜のうちに
この胸の中につもりつもってたまっていっても、
朝、私の前の席に座る和ちゃんの後姿を見たら、
私は何も言えなくなっていた。

黙々と問題をとく。
うさぎはたしかにかめに歩くスピードをあわせていたのかもしれない。
それでも、うさぎだって、走ったんだ。かめと同じ距離を走ったんだ。

私がギターを鳴らすように、和ちゃんはシャーペンを3年間、紙の上で走らせた。

そこは私の踏み入る領域ではなかった。
たまにその背中を見て、右手を鼻の頭につけたあと、左耳のみみたぶをさわった。
和ちゃんには、もちろんみえない。クラスの誰も、私のその行動の意味なんてしらない。

でも、それでよかった。
私はそういう風にして、いつだって、和ちゃんを赦していた。



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