過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
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884: ◆nW2JZrx2Lo[saga]
2012/03/10(土) 04:12:07.62 ID:fiKeJx/Ho

「がぁッ!?」

 まず彼女が知覚したのは、背中から伝わる『痛い』という神経の悲鳴だった。
遅れて装甲の外部で何かが砕けた音を認識する。

(……こいつ、私の『装甲』をッ!?)

 どこをどの程度負傷したか、それすらも確認する暇はなく彼女は横っ跳びに身を躍らせ、直後彼女がいた場所を数メートルはありそうな瓦礫が唸りを上げて通過する。
明後日の方向へ飛んで行った瓦礫が何かにぶつかり砕け散る音を背後に聞きながら、『油性兵装』は瓦礫が飛んできた方向を凝視する。

一方通行がそこに立っていた。
予想通り反射は中途半端になりダメージを負ったようで、全身白ずくめの彼の服装はところどころ赤く染まっている。
だが、その双眸に宿る獰猛な光は、いまだ彼が戦う意志を失っていないことを表している。

「……さすがに、そう簡単にはくたばらないよね」

「そォだな。レベル5の看板はそこまで安くはねェ」

「良いよ。それでこそ打倒する価値があるよね!」

 一方通行が蹴り飛ばした瓦礫を右腕の刃で切り裂き、『油性兵装』は地を蹴り後ろへと跳ぶ。
交戦開始から15分は過ぎた。しばしば電極のスイッチを切り替えていたことを考えても、一方通行に残された制限時間は15分強あれば僥倖といったところか。
その時間を凌ぎ切れれば彼女の勝ち。逃げ切れなければ一方通行の勝ち。分の悪い賭けだとは思わない。

ゴム状に変化させた足場の反発力と、潤滑剤の役割を果たす溶けた装甲表面のオイルが生みだす機動性。
対して、あらゆる運動の向きを自在に操ることによって人間の構造的限界を超越する機動性。
それはともに、常識の範囲を遥かに超えている。

滑らかに躍る『油性兵装』と、それを直線的な動きで追う一方通行。
2人はまるでダンスのパートナーのように近づき、交差し、離れ、戦いの余波を周囲に撒き散らして行く。



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