907:SSS ◆5pbDteB19s[saga]
2013/02/22(金) 00:19:49.14 ID:plWmnaWt0
―――あのコーちゃんとの激闘のあとのことを少しだけ話そう。
一方通行さんと第23学区の宇宙資源開発研究所で合流した後、驚く程簡単に事態は収束した。
私の残り少ない力を振り絞って行った攻撃は、容易く一方通行さんに止められてしまい、樹形図の設計者の破片を破壊できなかった。
戸惑う私を放置して、破片のうち大きいものをいくつかポケットに詰めると、出口の方へ向かって歩き出したのだ。
佐天「一方通行さん!!」
説明を求めるために大きな声を出してなお、一方通行さんは歩き続けた。
唯一止まったのは、途中で気絶していたコーちゃんを肩に抱える動作の時くらいだろうか?
そこから先、出口へ向かう通路の途中でも、一方通行さんは何も言葉を発さなかった。
どうしてここへ来たのか。
どうしてコーちゃんが倒れていたのか。
どうして残骸への攻撃をとめたのか。
このまま出口から出て行って大丈夫なのかどうか。
あの人は、そういったことを何も聞かなかったし、話さなかった。
きっと、私がいろいろと問い詰めても、同じだったはずだ。
長い通路を抜け、出口にたどり着くと、そこには多くの人が倒れうめき声をあげていた。
体のどこかを抜かれた人、意識を失った人がほとんどだったが、幸い死んでいる人はいないようだった。
そんな人たちを見下ろすかのように、ひとりの少女が立っていた。
御坂「………」
ひたいの少し前から、バチンという電気を発生させた音と共に、こちらへと視線を向ける。
その時の御坂さんが、安堵と敵意を含んだ複雑な表情をしていたのをはっきりと覚えている。
おそらく、安堵の意味は、私が無事だったから。
だとすれば、敵意は一方通行さんに向けて?
その答えが出る前に、一方通行さんは御坂さんとすれ違い、施設の外部へと立ち去っていってしまった。
どうすればいいのかわからなかった私は、小走りで一方通行さんの後に付いて行こうとした。
御坂さんとの距離が近づくが、なんと声をかけていいのかが分からない。
けれど、すれ違う瞬間に、
佐天「行ってきます」
という一言だけを言い残して、その場を離れた。
その言葉に、御坂さんがどんな反応を示したのかを、私は知らない。
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