過去ログ - さだのり「桜は散る、陽は沈む・・・そして、思い出はいつかは消える」
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918: ◆G2uuPnv9Q.[sage saga]
2013/01/25(金) 00:26:45.53 ID:DxHgeAwu0

さだのり「…ずいぶんとこの国も変わったよな」

ぽつりとつぶやくさだのりの背中は、誰よりも大きかった

夏美が知っている父親の背中は、いつも邪火流の物だった

頼りがいがあって、抱きつけば必ずそのまま歩き出してくれる

だが…さだのりの背中は、ほんの少しだけ遠くにあるような気がするのだ

決して離れているわけではないのに

もしも、抱きしめることをしなければ、いつかまたふらっといなくなってしまうかのように

夏美「…おじちゃん」

さだのり「お前ら怪我するなよなー」

子供に言い聞かせてから、さだのりが空を見上げる

彼が仲間と出会った時には、すでにそこにあった空だ

さだのり(空…ソラねぇ、ははは…)

思い返せば、本当に面白い人生だったのだ

仲間との出会い、別れ恋をして、そしてその恋を失い…

命までも失った

なぜだろうか、と思うほどに人を傷つけ、そしてたくさんの命を奪ってきた

神様というものを恨むことで正当化する人間もいるが、さだのりはその類ではない

さだのり「…なぁ夏美」

夏美「なに、おじちゃん?」

さだのり「…キャッチボール、しないか」

夏美「?」

ボールを夏美のほうに投げてよこしたさだのりが、グローブを手に嵌める

さだのり「やったことないんだよ俺…親父もおふくろもいなかったから」

夏美「あ……」

さだのり「…俺にはできなかったことなんだ」

夏美「…」

夏美が、そっと投げ返した白球は、空に美しい弧を描いて飛んでいく

それが

それが、なぜだかさだのりのグローブに届かない気がしたのだ





さだのり「お、ナイスボール」

ニヤニヤと笑ったさだのりの手の中に白球があった

それに、少しだけ夏美は胸をなでおろした






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