過去ログ - キョン「全世界をひっくり返しても必ずお前を取り戻す」
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146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)
2011/09/17(土) 20:29:05.45 ID:07Gijb350
例えばこの恥じらい含有割合絶妙な微笑がもしも谷口辺りにでも向けられていたのだとしたら。冗談ではなく、割と本気度の高い予想であの馬鹿は自分に好意を向けられていると勘違うだろうよ。
人の振り見て我が振り直せ。俺の脳内における想像にしか過ぎないが谷口像であったが、あの締まりの無いニヤケ面を思い出すだけで俺は彼女に好意を抱かれていたりするんじゃなかろうかなどというこっ恥ずかしい思い込みからはどうにか距離を置く事が出来た。

「いや、お礼を言われるような事は何一つしてないからさ。正直、記憶だって曖昧なくらいって本人がこう言ってるんだから、気にするなよ」

「……そう?」

「ああ、そうだ」

こっくりと頷く俺に対して、しかしながら彼女――長門はどうも微妙に困惑というか失望というか、なんかそんな表情を笑みから一転その可愛らしい顔にうっすらと表現してみせる。
なんだ? 俺、なんか悪い事したのか?
戸惑うも何を言って会話を続行したら良いのか分からない俺が天井へと視線を逃亡させて鼻の頭を掻いていると、少女が意を決したように――それこそ一の谷の絶壁を下り平家の軍勢へと奇襲を今にも仕掛けんとする源義経みたいな眼をして口を開いた。

「――お、お礼っ!」

オオレイ? フラメンコの掛け声なんかいきなり叫んでどうしたんだ、コイツは?
自身のどう見ても情熱的とは欠け離れた雰囲気が嫌で自己啓発でも始めたんだとしたら、悪い事は言わないから周りに誰も居ない所で鏡の前なんかでやるといいんじゃないかって俺は思う訳だが。

「ち……ちがっ。その、えっと、お礼を……」

お礼。……なんとまあ律儀な事か。通りすがりにちょちょっと図書館の貸し出しカードを作ってやっただけだというのに、そこまで恩を感じちまうなんて正直驚いた。
もしかしてこの子の前世は渋谷駅前にて銅像と化した忠犬なんじゃなかろうかと、その可能性を考察し始めてしまうも吝かではない俺である。


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