過去ログ - 唯「明日は恋なきものに恋あれ」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/06(水) 23:26:05.32 ID:s2y2te8to
後ろの道路を自転車が鈴を鳴らしながら通り抜ける。
その音に驚いたのか、先程から頭の上で休み続けていたチョウが飛び立っていってしまった。
群青の空に溶け込んでいく紫を見送る。
その飛び方は危なっかしげにも、力強くも見えた。
鮮烈な色が眼の底に焼きついた。

まるで自分の上からチョウが飛び立つのを待っていたかのように、スカートの塵を払いながら唯が腰を上げた。
地面に焼きつく唯の影が、身の動きに合わせて形を変えていく。
黒い色の中に、空の青と、焼きついた紫と、淡い水色が混ざっていて、目を奪われた。

「なにを見てるの?」

立ちあがろうともせず地面に俯く私に声をかける。
見上げると、私の顔を覗き込もうとする唯の顔のなかにも同じ色が映っている気がした。

「ないしょ」

ゆっくりと膝を伸ばして答える。
不満げな声を出しながら、それでも顔は楽しそうに少し角度を変えて川向うを眺める彼女の顔に、今度は明るい薄桃の色がさした。


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