過去ログ - 唯「明日は恋なきものに恋あれ」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:46:11.81 ID:kPL2CQfgo

和ちゃんがその人だということに気付いたのは、ようやくこの数年のこと。
けれど、それに気づいてからは、私はいつもうまくいっている。
表面に発生した思いつきが徐々に成長していっても、それに焦ったりはしなくなった。
かえって、和ちゃんに話す時を楽しみにして、それが充分なところにまで成長するのを心待ちにするくらいだ。

たとえば、ひとけのない夕方の教室で。
つっかえながら話す私の言葉を、和ちゃんは聞き洩らさないように、けれど重苦しさを感じさせるような態度でもなく、ごく自然な姿勢で聞いてくれる。
時々茶化すようなこともあるし、まぜっかえしたりもする。
でもそういうのも、話をちゃんと聞いてくれてる、というのがちゃんと私に分かるようにと、必要な分だけしてくれているのだ。
やがて私が黙ると、静かになる。
和ちゃんはすぐには話さない。
たぶん、私の言ったことを反芻して、頭の中で勘案している。
それから一言ずつ、確かめるような慎重さで、私に言葉を返してくれる。
ぽつり、ぽつり、と、静かに言葉を紡ぐ彼女の声が、やさしい表情が、私には好ましい。
そんな時の彼女を思い出すと、おなかの辺りに生まれるじくじくとした感情に名前を付けるなら、恋と呼ぶべきだろう。


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