3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/06(水) 23:17:48.08 ID:s2y2te8to
「のどかちゃん、どうしたの」
問いかけの言葉―アイロンをあててないシャツのように気の利かないおかしなアクセントで話された―に振り向くと、
幼時からの友人が持ちあげた両掌をチューリップのような形にして、こちらを見ていた。
逆光になっていて表情はよく見えない。
「ううん、なんでもない」
「その花?」
跳ねるようにこちらへ駆け寄り、身を屈めて私の足元を覗きこんだ。
きちんと整っていない髪がからだの動きに合わせて揺れる。
「毎年咲いてるよね、これ。いつからあるのかな」
「誰かがここに植えてるのかしらね。なんていう花なんだろ」
「勝手に生えてくるんじゃない?」
そう言ったきり興味を失ったのか、ふたたび跳ねるような仕草で離れていった。
私は置いて行かれないように駆け気味に唯のあとを追う。
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