過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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10:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/08(金) 21:12:53.40 ID:M0U/e/FAO
〜7〜

フレメア「シスター?」

地下食品街近くの路上にて、一人の少女が雑踏の中目を止めた。
人混みの中にあって目立つシルバーホワイトの修道衣。人波の中にあって目立つプラチナブロンドの髪。
人集りの中にあって耳目を引くその出で立ちに、同じ異国の人間の血を引く者として足が止まる。
留学生が多い第十四学区、神学校の多い第十二学区から離れたこの第七学区にあってその修道女は確かに珍しかった。

フレメア「(大体、どうしてこんな所にシスターがいるのかな?近くに教会なんてあったかなあ)」

フレメア=セイヴェルンは異国の血を引く人間である。
海の向こうにある国からこの学園都市に渡る前から……そう、両親らと暮らしていた頃から十字教の存在は知っていた。
とは言っても『神の子』や『聖母』などの一般常識的な伝承くらいしかまだわかっていない。
この進化と深化を続ける最先端技術の結晶体の街にあって神の存在を心の底から信望している訳でもない。
ただ、サンタクロースの存在の方がまだしも信じられる、そんな微笑ましい価値観の少女である。

フレメア「(駒場のお兄ちゃん、今日は会えるかなあ……最近全然見ないし、大体電話でお話して終わっちゃうんだもん)」

パチン、とキッズケータイを開いて待ち受け画面を見やる。
そこにはまるでフランケンシュタインのような巨漢と、抱きつく小さなお姫様のようなフレメアが映っている。
こんな時どうしたら良いのかわからない、けれど精一杯と言うのがありありとわかる恥ずかし気な笑顔。
駒場利徳……今年の頭に、自分が通っている小学校にボウガンなどを担いで侵入しようとした『無能力者狩り』の集団から自分を救い出してくれた……
フレメアにとっての王子様であり、騎士であり、英雄だった。

フレメア「(浜面とも半蔵とも、大体いつから会ってないかあ……また、みんなで遊びたいな)」

改めて別の画像フォルダを開く。そこにはどこか忍者を連想させる名前の少年と、茶髪と金髪の中間に染めた少年。
二人が酒瓶と缶ビール片手に肩を組んで笑顔で酔っ払っているのが見えた。
当の駒場は画面の端で仰向けに横臥していたる。どうやらグラス一杯でひっくり返ってしまったらしい。
大柄な身体付きの割に、意外と酒に弱い質なのかも知れない。

フレメア「(会いたいなあ……みんなに)」

そんな、ありふれた日常に――




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