過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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113:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/15(金) 23:36:16.52 ID:PXVe/j9AO
〜7〜

重力に従ってヒラヒラと落ちて行く紙飛行機……
垣根は思わず誰のイタズラだと視線を紙飛行機に向ける。
つられてフレメアも紙飛行機の向かう先をジッとその碧眼で見やる。

「…………ん?」

その翼の折れた白い鳩のような紙飛行機が一人の男の顔に落ちる。
舞い散る雪の一片のように、降り注ぐ羽の一枚のように。
天からの贈り物のような――その赤点の答案用紙で折られた鳥が

駒場「―――……舶来!!?」

フレメア「駒場のお兄ちゃん!!」

垣根「――嘘だろ……」

なんと……墜落して行った先、コンビニの駐車場でレッドブルを飲んでいた駒場の顔に落ち……
見上げた駒場が満月を背に、垣根の背中から手を降るフレメアを見つけたのだ。
垣根があの紙飛行機にぶつかって空中で静止しなければ……
誰が欠けても、何が足りていなくても……起こり得ない奇跡のような邂逅、遭遇、再会……

垣根「ははっ……おいおい。コントじゃなくてラブコメかクソッタレ!」

フレメア「いいから早く!早く下りて!」ペンペン!

垣根「痛え!痛えって!」

駒場「……舶来!!」

フレメアが垣根の頭を叩く。まるで背を屈めない躾の悪い馬を鞭で叩くお姫様のように。
徐々に高度を下げて行くフレメアへ駒場が両手を伸ばす。まるで野獣に姿を変えられた皇子のように。
垣根が頭を低くし背中を屈めて翼をはためかせて行く。まるで分かたれた二人を手引きする従者のように

フレメア「お兄ちゃぁぁぁぁぁーん!」フミッ

垣根「ぐえっ」

駒場「……お前、どうしてここに」

そしてフレメアは垣根の背中を踏み台に、涙の浮かんだ目尻を笑みに変えて駒場の首に抱きついた。
対する駒場は戸惑いを隠せない。一日中『作戦行動』の指揮を執り、やっと今日初めての食事にありつこうと立ち寄ったコンビニで……
フレメアからの連絡さえ、身の危険が及ぶ可能性を考えて断っていたにも関わらず――
出会ってしまったのだ。メルヘンな天使を従えて夜空から舞い降りて来たフレメアに。

垣根「……見せつけてくれるぜ。こちとら女に袖にされたばっかだってのによ」

駒場「……俺の身内が悪い事をした」

垣根「いいって事よ。なあ――」

そこで……フレメアをキャッチした駒場が、踏み台に使われた垣根を見やり――
垣根もまた、自分を踏み台にしてまでフレメアが会いたかった男を見上げた。




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