過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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172:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/19(火) 21:12:45.03 ID:5HPWMU5AO
〜9〜

私は甘ったるい馴れ合いと、生ぬるい凭れ合いが大嫌いだ。
でも本当はわかってる。私にとって世界は優しくちゃいけないんだ。
人を殺した日から壊れて閉じた私の世界が優しくちゃダメなんだよ、御坂。

それが私にとっての『自分だけの現実』だからだ。
誰かと愛情を育てて、友情を育んで、理解を深めて、信頼を高めて――
そんな世界が私にあっていいはずがない。あっちゃいけないんだ。

御坂、お前の回りの優しい世界みたいにね。

馴れ合いが嫌いと言いながら、私がアイテムを使い勝手の良い使い捨ての出来る使い潰しの道具と連んでいたのは――
私は人殺しで、絹旗は置き去り、フレンダは殺しを趣味にしている節があるし、滝壺にはあそこしか居場所がなかった。
――私達は世界に見捨てられて、神様に忘れられた側の人間だ。
傷を舐め合う趣味はないけど、あんたがいるような世界に侮蔑や憎悪を覚える事もなかったから。

私にとって上条当麻とは、御坂がいるような昼間の世界でも私がいた夜の世界でもない、優しい優しい夕闇だった。
私と当麻が出会った、劣等感の光でも優越感の闇でもない場所……フラットな優闇の世界だったからだろう。
わかってる。大事な所に特例を作る時点で私の完璧主義は破綻してるってね。

ダメなんだよ御坂。もう私は散々自分の決めたルールさえ守れず破り続けてる。
無駄なこだわりだってお前は笑うだろう。当麻が知ればそんな幻想をぶち殺すでしょうね。
でもダメなんだ。自分を雁字搦めにして、上乗せした理由と後付けした意味で自分を縛り付けないと私はダメなんだ。

この爆発しそうな重圧と、破裂しそうな矛盾に折り合いがつけられない。
私にとって世界は平和じゃダメなんだ。いつだって残酷じゃなきゃイヤなんだ。
そうでないと私が否定して来た他人の人生と、拒絶して来た救いの手と、破壊して来た命に向き合えない。

今だって御坂への原液だった憎悪が嫌悪に、嫌悪が好悪にまで稀釈されてるんだ。
ドス黒いマグマのようだった自分が、当麻の腕の中で37度の牛乳風呂みたいになるまで私はぬるくなった。

当麻、あんたは私が失ったもの、諦めたもの、捨てたものまで与えてくれる。
私はそんなあんたにどんな顔したらいい?きっとね、申し訳なくなるくらい悲しく笑ってしまいそうになる。
この世界は私に優し過ぎる。味方が多すぎる。あんたは私を甘やかし過ぎだよ。




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