過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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174:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/19(火) 21:15:55.54 ID:5HPWMU5AO
〜11〜

麦野「――そうね。だから何?」

御坂「………………」

麦野「あんたのありがた〜〜い話はよーくわかったよ。確かに私は弱くなって丸くなって甘くなってぬるくなった。あんたにこんなナメた口きかれても、この距離で首を刎ねない程度には。だけど優しくなった、って言うのは見込み違いで見当違いで勘違いで思い違いだよ。あんたは私って人間をまだわかっちゃいない」

膝枕の体勢になった御坂の滑らかな頬に麦野は掌を添え指を這わせる。
御坂はそれを目だけ動かして見やる。ひどく優しい手付きだと。
ちょうどガラスのランプシェードを愛でるようなそんないたわりのこもった動き。

御坂「……そこまで意固地と言うか、意地っ張りって言うか……死んでもNOを貫き通して不完全なYESも許さないなんて、ほとんどビョーキよ、私からすれば」

麦野「……そうかもね」

御坂もまた麦野の柔らかな頬を撫で、なぞり、さすり、くすぐる。
ふう……と言う息を一つ吐き出さざるを得ない。
なだめてもすかしても、押しても引いてもダメ。
冗談のような想像だが、金庫の中にまた一回り小さい金庫、その中にまた……
と言った頑健さと堅牢さと強固さを誇る、鍵穴のない心を相手取っている気分だった。

麦野「――なんでだ?」

御坂「なにがよ?」

麦野「何がどうして、あんたはそこまで私に構いたがる?これだけ罵詈雑言ぶつけられて、怒りはするだろうけどマジ切れさえしない。あんたはそんな呑気な性格じゃないでしょうに」

御坂「わざと怒らせよう、あえて嫌われようってやってるヤツの思い通りになんて誰がなるもんですか!」

麦野「………………」

御坂「あんたの性格のひん曲がり方はね、きっとアイツ以外の誰にも解けないと思う。けどね……」

いつしかBDが終わり、室内の音が消えた。後頭部に感じる柔らかさや温かみ。同じ血の通った人間だとわかるそれ。

御坂「――あんたがどれだけ拒絶しても、周りが否定しても、あんたが本当は優しい人だって事、私は覆すつもりないし」

麦野「……何が言いたいのか、私にはさっぱりだわ」

御坂「うーん……改まって言うのも、幼稚園か小学校以来なんだけどさ。一度しか言えないから聞いて?」

麦野「はあ?」

御坂「あのね――」

その時、眼下より御坂の両手が見下ろす麦野の頬を挟むようにして――言った。




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