過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
1- 20
247:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/24(日) 21:10:55.25 ID:9nLn6TsAO
〜7〜

麦野「さーてと……今日はどうするかにゃーん?」

一方その頃、麦野はシャワーを浴びて頭をスッキリさせた後リビングにて髪を乾かしていた。
朝風呂の方が何故か上手く行くブローを当てつつ、適当にチャンネルを回す。
御坂を送り出している間に星座占いのコーナーを見逃してしまったのが少し悔やまれたがそれはそれ。
麦野は基本的に良い結果の出た占いしか信じない質なのだ。
それに一日を左右されるには、彼女は学園都市で長く暮らし過ぎていた。

麦野「当麻は学校だし……インデックスはまあいつも通り……ああでももういい加減冷蔵庫の中身ヤバいわね」

だがそのサイクルの一部が変化したのは七月を越え、八月に差し掛かった頃であった。
二重生活のように行き来する二つの家。麦野とて当然一人の人間であるからしてプライベートな時間や空間は当然欲しい。
まして麦野自身も半同棲をするようになってから気づいた事だが――

麦野「……やる事あるけどやる事ねー」

ワンルーム、というのはじつに不都合である。例えば時に喧嘩もするし顔も見たくなくなる時がある。
そんな時いちいちどちらかがほとぼりが冷めるまで家を出て外で時間を潰すというのは非常に効率が悪いし精神衛生上良くない。
服が入りきらない、電化製品が合わないetc.、etc.……
誉められたものではない学生の半同棲とてその辺りの事情は一般的なカップルと何ら変わらないのだ。
と麦野はヘアーアイロンで巻き毛を作りつつそんな事を考える。

麦野「(……こんな事で頭悩ませる日が来るなんてねー)」

ふと水の入っていない水槽のインテリアを見やる。
自分は深海に住まう異形の魚で、上条は清廉な浅瀬を泳ぐ美しい魚だ。
浅瀬の魚が深海に潜れば深海の水圧に圧壊し深海の魚が浅瀬に上がれば内圧の変化に自壊する。
麦野は――今、身と心を軋ませる内圧の変化に必死に順応しようとしている最中にある。
ともすれば人間性の回復につれもたげて来る、内なる心の闇の手綱を何とか捌いて。

麦野「やばっ、熱熱っ!!」

それが暗闘か戦場の違いこそあれ、血溜まりの中で己を見つけてしまった人間は平和の中生きる術を身に付ける必要があった。
獅子に生まれた者が草を食んで生きるような、そんな生き方が。
考え込み過ぎて熱のこもったヘアーアイロンに、麦野はあわや火傷しかけた。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1297.63 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice