過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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323:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/02(火) 21:01:07.48 ID:lrjKmZUAO
〜2〜

吹寄『何?貴様は今日のすき焼きパーティーにこないの?』

赤から青に変わる信号を走り出し、動き出す人波を掻き分けて上条当麻は奔る。
薄っぺらな学生鞄を担いで、逸る胸と踊る足のまま駆け出す。
脳裏を過ぎるは両手を合わせて拝み倒した吹寄制理の腕組みと仁王立ち姿。

姫神『残念。もしかして。大事な用事?』

二段飛ばしでエスカレーターの右側を駆け上がり、モールへ向かって右手に曲がる。
自分が昼休み中抜けしている間に決まったすき焼きパーティー。
胸裡を過ぎるはその議題に清き一票を投じた姫神秋沙の小首を傾げた姿。

土御門『くはーっ!カミやん率先してクラスの輪を乱しまくってるんだにゃー!いいぜい?明日散々肉の旨味と鍋の奥深さをこんこんと語って聞かせてやるからとっとと行くんだぜい!』

宝石店を、花屋を、アパレルショップを、成城石井を、不二家をグングン視界の端に追いやりながら走り続ける。
先に約束しちまってたから勘弁してくれ!と平謝りする背中と肩を思いっきり張り飛ばされた部分がヒリヒリする。
目蓋を過ぎるは人を食った笑顔と共に送り出してくれた土御門元春の笑顔。

青髪『ああ、二日続けてご馳走にありつけるやなんて僕ァ幸せもんやなあ……せやから“デートあるから悪いまた今度!”なんてリア充な友達も寛大な心で許したるわ早よ行ってまえカミやんの裏切り者ー!!』

モールを抜け、長く広く張り巡らされた歩道橋を走り抜け、迷惑そうに秋空へと羽ばたいて行く鳩を尻目に駆ける。
心中を過ぎるは全授業終了を告げるチャイムと共に椅子を蹴った上条をエスコートするようにスライドされたドア。
僻みと泣きとエールが綯い交ぜになった絶叫で呼びかけてくれた青髪ピアス。

禁書目録『ちゃんとお土産買ってくれないと家に入れて上げないんだよ!オズマ姫のクッキー缶がいいかも!!』

飛び込むようにターミナル駅のエントランスを潜り抜け、改札口を目指し、ゲートから下校に伴いわらわらと湧き出す学生らをかわして行く。
記憶を過ぎるは昼休みの終わり、公園での別れ道、そう人差し指を突きつけて真面目な顔作った後に微笑んでくれたインデックスの立ち姿。



―――そして―――



麦野『―――かーみじょう―――』

この道の先、百メートルも十秒もない距離で自分を待ってくれているであろう最愛の――




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