過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/07/08(金) 21:04:37.28 ID:M0U/e/FAO
〜10月2日〜
麦野「……ディルがない」
麦野沈利は地下食品街にて買い物カゴ片手に歎息した。
夕食に使うハーブがどうしても見当たらないのである。
既にサーモン、パプリカ、サニーレタス、レモン、粗塩、生卵、ターメリック、タイム、ローズマリーはある。
しかしディルだけがない。ハーブなどそうそう売り切れる類のものでもないにも関わらずに、だ。
麦野「まいったわね……どうするか」
麦野は完璧主義者である。少なくともレシピにある食材くらいはきっちり取り揃えておかなければ気が済まない質である。
例え振る舞う相手が手を抜いても抜かなくても嬉しそうに頬張る食べ盛りの高校生であったとしても――
食客と呼ぶにはあまりにエンゲル計数を逼迫させる、暴力の独占ならぬ暴食の独占の権化たる修道女であっても。
麦野「イライラするわねこういうの……」
麦野沈利の沸点は低い。流石に数ヶ月前に比べれば見違えるほど丸くなったが、それは角が丸くなっただけで取れた訳では断じてない。
それこそ場合によっては気体爆弾イグニスのように火花一つで自らを含めた全てを焼き尽くす狂気は未だ健在である。が
麦野「(……この私が、誰かのために何かを作るだなんて、ね)」
思わず上向けた左手に目を落とす。数多の生を奪い、幾多の死を与えて来た手。
人殺しの手ほど美しく艶めかしい『何か』が宿ると伝え聞いた事が麦野はあった。
ヴァイオリン、ピアノ、アルモニカ……楽器の種類こそ異なれど、奏者の手は皆共通して美しい。
例えば一流の手品師、ないし奇術師の手も総じて柔らかい。それこそ並みの柔肌など比べ物にならないほどに。
麦野「(人殺しのくせに……こんなもんまでもらっちゃってさ)」
左手薬指に嵌められたブルーローズの指輪がキラキラと輝いて見えた。
薬指の血管は心臓に強く結びついていると言うのは良く言われる話だが……
思考はもちろん頭脳に宿る。しかし心などと言う無形のものが胸に宿るとすれば――
自分は心臓を掴まれていると麦野は己を分析する。
麦野「(――人並みに幸せですってか?調子こいてんじゃねえぞ人殺しの化物が)」
否定出来ない幸福に緩む口の端と頬を戒めるようにピシャリと手で打つ。
誰に許しを請うでもないが、神に赦しを乞うほど恥知らずでもなかった。
だがしかし―――
御坂「げっ、第四位」
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